財産しんだい)” の例文
死神しにがみ吾等われら婿むこ死神しにがみ吾等われら嗣子あとつぎ此上このうへ吾等われらんでなにもかも彼奴あいつれう、いのち財産しんだいなにもかも死神しにがみめにれませうわい。
弟の堅く分居せんといひ張りてまぬに打負けて、ついに一切の財産しんだい正半分まふたつにし、その一方を弟に与へぬ。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
貴郎あなた、今の奥様のです、だから二た言目には此の山木の財産しんだいおれの物だつて威張るので、あんな高慢な山木様も、家内うちでは頭が上がらないさうです、——先生
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だから、まだ籍も何も入れてない赤の他人で、一生懸命に働いて行くうちに、私達が死ねば、お礼にお前と、この家の財産しんだいを遣る口約束がしてあるだけの人間だよ。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親譲りの財産しんだいがこれでも相当にあるにはあったんでございますがね、みんなくだらなくつかってしまいましたよ、これと言って取留まりがなく遣ってしまいましたよ、なあに
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わしの思わくは丸はずれ——これまでの儲けを吐き出すはおろか、長崎屋の、財産しんだいを半分にしてしまっても、まだ帳尻はうまるまい——なあ、広海屋さん、おぬしだとて、このわしと
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
自分の財産しんだいげて保証うけにんの義務を果たすと云ふ律義な人でなかつたならば、老婆おばあさんも今頃は塩問屋の後室おふくろさまで、兼吉君は立派に米さんと云ふ方の良人をつととして居られるのでせう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
お浪の家は村で指折ゆびおり財産しんだいよしであるが、不幸ふしあわせ家族ひとが少くって今ではお浪とその母とばかりになっているので、召使めしつかいも居ればやとい男女おとこおんな出入ではいりするから朝夕などはにぎやかであるが
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なあ甲助、どうせ養子をするほども無い財産しんだいだから、かかあが勧める嚊の甥なんぞの気心も知れねえやつを入れるよりは、怜悧りこう天賦たちいあの源三におらがったものは不残みんなるつもりだ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
皆な此の財産しんだいの御蔭だあネ、かほつやよりも今は黄金おかねの光ですよ、はゞかりながら此の財産は何某様どなたさまの御力だと思ふんだ、——其の恩も思はんで、身分の程も知らなんで、少しばかりの容姿を鼻に掛けて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
兄に財産しんだいを分ちくれむことを求めける。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)