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ちうもん
自分に
店を
張つて
註文を
取るほどの
資力はないまでも、
同業の
許に
雇はれて、
給金を
取らうなら、
恁うした
力業をするには
當らぬ。
一體誰彼といふ
中に、さし
急いだ
旅なれば、
註文は
間に
合ず、
殊に
少い
婦人なり。うつかりしたものも
連れられねば、
供さして
遣られもせぬ。
菊屋に
着いて、
一室に
通されると、まだ
坐りもしない
前、
外套を
脱ぎながら、
案内の
女中に
註文したのは、
此の
男が、
素人了簡の
囘生劑であつた。
時に、
今來た
女中の
註文が、
何うやら
饀子ばかりらしいので、
大に
意を
強うして
然るべしと
思つて
居ると