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見霽
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みはら
森を高く抜けると、三国
見霽しの一面の広場になる。
赫と射る日に、
手廂してこう
視むれば、松、桜、梅いろいろ樹の
状、枝の
振の、
各自名ある神仙の形を映すのみ。
我里は木曾の谷の
外、名に負ふ
神坂の村の、
嶮しき里にはあれど、
見霽しの
宜しき里、美濃の山
近江の山、はろばろに見えくる里、
恵那の山近く
聳えて、
胆吹山髣髴にも見ゆ。
森を高く抜けると、
三国見霽しの一面の広場に成る。
赫と
射る日に、
手廂して
恁う
視むれば、松、桜、梅いろ/\樹の
状、枝の
振の、
各自名ある
神仙の形を映すのみ。
その内に、物見の松の
梢の
尖が目に着いた。もう目の前の峰を越すと、あの
見霽しの丘へ出る。……後は
一雪崩にずるずると屋敷町の私の内へ、
辷り込まれるんだ、と
吻と息をした。
がちがち震えながら、
傍目も
触らず、坊主が立ったと思う処は
爪立足をして、それから、お前、前の峰を
引掻くように
駆上って、……ましぐらにまた
摺落ちて、
見霽しへ出ると、どうだ。
屋根も柱も
蜘蛛の巣のように
狼藉として、これはまた
境内へ足の
入場もなく、
崕へかけて倒れてな、でも建物があった跡じゃ、
見霽しの広場になっておりますから、これから
山越をなさる
方が