行衞ゆくへ)” の例文
新字:行衛
くもくもきたり、やがてみづごとれぬ。白雲しらくも行衞ゆくへまがふ、蘆間あしまふねあり。あは蕎麥そば色紙畠しきしばたけ小田をだ棚田たなだ案山子かゝしとほ夕越ゆふごえて、よひくらきにふなばたしろし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雲飛うんぴは石をうばはれて落膽らくたんし、其後はうち閉籠とぢこもつて外出しなかつたが、いしかはおち行衞ゆくへ不明ふめいになつたことをつたき、或朝あるあさはやく家を出で石のちたあととむらふべく橋上けうじやうたつて下を見ると、河水かすゐ清徹せいてつ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
風の行衞ゆくへを誰か知る
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おまゐりをしてくださいなと、なにかのときに、不思議ふしぎにめぐりつて、その養女やうぢよからいはれたんですが、ついそれなりに不沙汰ぶさたでゐますうちに、あの震災しんさいで……養女やうぢよはうも、まるきし行衞ゆくへわかりません。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)