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蠣殻
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かきがら
ふりがな文庫
“
蠣殻
(
かきがら
)” の例文
侍女
(
こしもと
)
に日傘をささせ、女坂の中段から右の平地を
斜
(
はす
)
に切って、そこに一軒ある古風な生垣に
蠣殻
(
かきがら
)
かぶせの屋根門をスウとくぐった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蠣殻
(
かきがら
)
町辺に事務員を求めるといふ広告があつたので、出掛けて往つて見ると、九尺二間位な小さき家に怪しい者が住んで居る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
蠣殻
(
かきがら
)
町二丁目の家から水天宮裏の有馬学校へ通って居た時分———人形町通りの空が霞んで、軒並の
商家
(
あきうどや
)
の
紺暖簾
(
こんのれん
)
にぽか/\と日があたって
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
歌舞伎座が廿二年に出来るまでは、そのほかに
中
(
ちゅう
)
芝居に、本所の
寿
(
ことぶき
)
座と本郷の春木座、日本橋
蠣殻
(
かきがら
)
町の
中島
(
なかじま
)
座と、後に明治座になった
喜昇
(
きしょう
)
座だけだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
と
出額
(
おでこ
)
をがッくり、
爪尖
(
つまさき
)
に
蠣殻
(
かきがら
)
を突ッかけて、
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の散ったあとへ、ぼたぼたと
溢
(
こぼ
)
れて映る、烏の影へ
足礫
(
あしつぶて
)
。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
蠣殻
(
かきがら
)
はこの海岸の一帯に多く産し、
瓦
(
かわら
)
はまだふつうの人が利用するまでに、普及していなかったからである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今一つこれも知ったか振りであるが、約二十年近く前から東京に
蠣殻
(
かきがら
)
町式という言葉が出来た。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
按摩は
蠣殻
(
かきがら
)
のような白い眼をぱちぱちやりながら考えていたが、やっと何か思いだした。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
浅草
鳥越
(
とりこえ
)
の中村座、浅草
猿若町
(
さるわかまち
)
の市村座、本郷春木町の春木座、少しく下がって中芝居と認められたのは、本所相生町の
寿座
(
ことぶきざ
)
、四谷荒木町の桐座、日本橋
蠣殻
(
かきがら
)
町の中島座の三座で
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蠣殻
(
かきがら
)
のついた
粗朶垣
(
そだがき
)
の中には石塔が幾つも
黒
(
くろず
)
んでゐた。彼はそれ等の石塔の向うにかすかにかがやいた海を眺め、何か急に彼女の夫を——彼女の心を捉へてゐない彼女の夫を軽蔑し出した。……
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「私立探偵安藤一郎 事務所 日本橋区
蠣殻
(
かきがら
)
町三丁目四番地 電話
浪花
(
なにわ
)
五〇一〇番」と記してある。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
熱海の街を
突切
(
つっき
)
って、
磧
(
かわら
)
のような石原から浪打際へ出ようとする、
傍
(
かたわら
)
の
蠣殻
(
かきがら
)
屋根、崖の上の一軒家の、年老いた漁師であるが、
真鶴崎
(
まなづるがさき
)
へ
鰹
(
かつお
)
の寄るのも、老眼で見えなくなったと
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、その万兵衛が、
蠣殻
(
かきがら
)
の白くついている柴垣越しに、顔を伸びあげた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにつけくわえて、「
但
(
ただ
)
し
土留
(
つちど
)
め
迄
(
まで
)
に
蠣殻
(
かきがら
)
さし
置
(
お
)
き
候分
(
そうろうぶん
)
は
勝手次第
(
かってしだい
)
」
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
正面の上のかたは板羽目にて、上に祭壇を設け、
注連
(
しめ
)
を張れり。中央の出入り口にはやぶれたる
簾
(
すだれ
)
を垂れたり。下の方もおなじく板羽目。庭前の下のかたに丸太の門口、
蠣殻
(
かきがら
)
の附きたる垣を結えり。
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
千束町式、
蠣殻
(
かきがら
)
町式
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
蠣
漢検準1級
部首:⾍
20画
殻
常用漢字
中学
部首:⽎
11画
“蠣殻”で始まる語句
蠣殻町
蠣殻葺
蠣殻道