菊屋きくや)” の例文
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
山下やました菊屋きくやで夕食をした後友は神田かんだに行こうと云い出した。私は云うがままに彼について行った。
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
其の北に入るものは所謂いわゆる、新堀にして、栄久えいきゅう三筋みすじ町等に沿ひ、菊屋きくや橋・合羽かっぱ橋等の下に至る。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
菊屋きくやいて、一室ひとまとほされると、まだすわりもしないさき外套ぐわいたうぎながら、案内あんない女中ぢよちう註文ちうもんしたのは、をとこが、素人了簡しろうとれうけん囘生劑きつけであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
る、まへへ、黄色きいろ提灯ちやうちんながれて、がたりとあをつた函車はこぐるま曳出ひきだすものあり。提灯ちやうちんにはあかしべで、くるまにはしろもんで、菊屋きくやみせ相違さうゐない。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)