草刈鎌くさかりがま)” の例文
草刈鎌くさかりがまの一ちやうや二ちやうまへどうするもんぢやない、あつちへまはつてあしでもあらつてさあ」内儀かみさんのくちもとにはかすかなわらひがうかんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「金之助が來ずに、草刈鎌くさかりがまが飛んで來たのですよ、五日月いつかづきほどの凄いのが、闇の中からサツと娘の首筋を苅つたとしたらどんなものです」
それは、村でも評判の貞女ていじょだったある女が、寝惚けて、野らで使う草刈鎌くさかりがまをふるってその亭主を殺して了ったというのである。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「外へでて、あたしの牧場まきばってね、刈りとった草をほしておくれ」と言って、銀のものでは、(立っていて使う)大きな草刈鎌くさかりがまを、黄金きんのものでは砥石といしを一つわたして
さう云つてゐると、草刈鎌くさかりがまを手にした六十位の婆さんが傍の植込みの中から現れた。
曠日 (新字旧仮名) / 佐佐木茂索(著)
ねずみが二三びきがた/\とさわいで、なにかでおさへつけられたかとおもふやうにちう/\とくるしげなこゑたていた。おつぎは手探てさぐりに壁際かべぎは草刈鎌くさかりがまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
勘次かんじにしてつた草刈鎌くさかりがまでそく/\とつちをつゝくやうにしてつた。さうしてそのやはらかにつたつちさらつた。襤褸ぼろつゝみた。かれ其處そこちひさな一塊肉くわいにく發見はつけんしたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)