肉屋にくや)” の例文
肉屋にくやはおこって、そこにあったほうきのをつかむと、いきなりお百姓ひゃくしょうさんをたたきだしてしまいました。
しかし、ぼくは、ひとりのときは、まわりみちをして、肉屋にくや魚屋さかなやまえとおらないようにしました。
僕の通るみち (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちやうど、まだあかしれたばかりの暮方くれがたでね、……高樓たかどのから瞰下みおろされる港口みなとぐち町通まちどほりには、燒酎賣せうちううりだの、雜貨屋ざつくわやだの、油賣あぶらうりだの、肉屋にくやだのが、みな黒人くろんぼ荷車にぐるまかせて、……商人あきんどは、各自てん/″\
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼくは、肉屋にくやまえとおるのがきらいでした。だから、なるたけ、みせほうかないようにしてとおりました。人間にんげんのためはたらいたうしうまべるのは、かわいそうなことのようにおもいます。
僕の通るみち (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうとう、がまんができなくなって、お百姓さんは町の肉屋にくやへでかけていき、かねをはらってくれとねじこみました。肉屋はじょうだんだとばかり思っていましたが、お百姓さんはいいました。
みちがりかどに、肉屋にくやがあって、燈火あかりあかるく往来おうらいへさしています。おかあさんは、しばらくそこにっていました。あとから、あとから、つとめからかえるらしい人影ひとかげが、まえをすぎていきました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)