きこゆ)” の例文
されど二月きさらぎそらはさすがにあをみわたりて、朗々のどかなるまどのもとに書読ふみよむをりしもはるか輴哥そりうたきこゆるはいかにも春めきてうれし。是は我のみにあらず、雪国の人の人情にんじやうぞかし。
小中大といえば、順序をへて次第に上るべきようにきこゆれども、事実、人の貧富、才・不才にしたがって、はじめより区別するか、あるいは入学の後、自然にその区別なきを得ず。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たゞ折々をり/\きこゆるものは豌豆ゑんどうさやあつい日にはじけてまめおとか、草間くさまいづみ私語さゝやくやうな音、それでなくばあきとり繁茂しげみなか物疎ものうさうに羽搏はゞたきをする羽音はおとばかり。熟過つえすぎ無花果いちじくがぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
されど二月きさらぎそらはさすがにあをみわたりて、朗々のどかなるまどのもとに書読ふみよむをりしもはるか輴哥そりうたきこゆるはいかにも春めきてうれし。是は我のみにあらず、雪国の人の人情にんじやうぞかし。
○さてしばらくありてほうい/\と呼声よぶこゑとほきこゆるを家内の者きゝつけ、(ふゞきにほうい/\とよぶは人にたすけを乞ふことば也、雪中の常とす)雪吹倒ふゞきたふれぞ、それ助けよとて
○さてしばらくありてほうい/\と呼声よぶこゑとほきこゆるを家内の者きゝつけ、(ふゞきにほうい/\とよぶは人にたすけを乞ふことば也、雪中の常とす)雪吹倒ふゞきたふれぞ、それ助けよとて
此時こゝろづきて腰をさぐりみるに握飯にぎりめし弁当べんたうもいつかおとしたり、かくては飢死うゑじにすべし、さりながら雪をくらひても五日や十日は命あるべし、その内には雪車哥そりうたこゑさへきこゆれば村の者也