聞入きゝい)” の例文
御迷惑ごめいわくぞんぜぬが、もやそで擦合すれあうた御縁ごえんとて、ぴつたりむねあたことがありましたにより、お心着こゝろづ申上まをしあげます……お聞入きゝいれ、お取棄とりすて、ともお心次第こゝろしだい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と云うを聞入きゝいれず、源次郎は是を機会しお跣足はだしにて根府川石ねぶかわいし飛石とびいしを伝いて帰りました。
のみめづらしいとはおもひませぬけれど出際でぎは召物めしものそろへかたがわるいとて如何いかほどびても聞入きゝいれがなく、其品それをばいでたゝきつけて、御自身ごじゝん洋服ようふくにめしかへて、あゝ私位わしぐらゐ不仕合ふしあはせ人間にんげんはあるまい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
愚妻ぐさいよりも申せし通り新藤市之丞と云者より受取たる金に相違さうゐなく其譯そのわけは斯樣々々と馬喰町中ばくろちやうぢうたづ歩行あるきたる事まで委しく申聞るといへども久兵衞は少しも聞入きゝいれず否其新藤市之丞と云は町所家主も知れず當人たうにんが今の名前さへ知れぬ位の事なる由是第一あやしき證據なり又不審ふしんなるは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)