ほそ)” の例文
新字:
ほそきことごと玉蜻かげろふふ。をんなかすかあを瓔珞やうらくかゞやかしてへば、やますゝき差覗さしのぞきつゝ、やがてつきあきらかにづ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お上さんはほそ指尖ゆびさき上框あがりがまちいて足駄を脱いだ。そして背中の子をすかしつゝ、帳場の奧にかくれた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
苧環をだまき成人おとなびてゐないのが身上しんじやうの女學生、短い袴、ほそあし、燕の羽根はねのやうに動くうで
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さすがに持扱もてあつかひて直行の途方に暮れたるを、老女は目をほそめて、何処いづこより出づらんやとばかり世にもあやしき声をはなちてゆるく笑ひぬ。彼は謂知いひしらぬ凄気せいきに打れて、覚えず肩をそびやかせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ほそつよく太く艶あるの聲の如き心をもたむとぞ思ふ (シャリアーピンを聞きて)
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
一はほそい線、巖の樣子もまた二者の間に相應した差があつて、霧降の瀧の美しさは、瀑布の形容によく素練それんなどといふ字を使ふが、素練などといつたのでは端的にそのじつは寫し得ない。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
霞針かすみばりほそき葉の神
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
殘れる月のほそきかな
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
煙の如くほそやかに吹きまよふ丈長たけながの髮
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
春雨ほそ𢌞廊わたどの
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)