じば)” の例文
昨宵ゆんべあんまり寒いからと云って、山へ鹿を打ちにきまして、よう/\塩梅あんばいに一疋の小鹿を打って、ふんじばって鉄砲でかついで来ましたが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
血まみれの中を後でよくたしかめてみるがよい。——なお、不審な事、分らぬ点は、この床下へ、ふんじばって突っ込んである浪人へ問いただすがよい。
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一時間とたぬうちにこの船もろとも木葉微塵こっぱみじんにしてやるから、ゆっくり見物してるがいい……おい王、この餓鬼どもをふんじばって急いで仕事にとりかかろうぜ
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「御前、どうか遊ばして下さいよ。私等わたくしども口惜くやしくて口惜くて仕様が無いの、ああいう乱暴な貧民は何人あろうと、一人々々ふんじばるわけには参りませんか。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恩を仇の泥棒猟師の女房にコロリと一杯喰ってアベコベにフンじばられる田舎相撲らしい総身に知恵の廻り兼ぬるドジを時々踏むほかは、皆余りに出来過ぎている。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
伊勢の国から来て、江戸の下谷の長者町の道庵先生というところまで行くんだが、たびたびこんな目に会ってぶんなぐられたりふんじばられたりしたんじゃあ、ほんとにやりきれねえ。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「何かカラクリがある。手品の種がある……そうだ。きっとそうだ。おい、恒川君、僕は大変な失策をやった。だが、まだ間に合うかもしれない。あいつだ。あのいざり乞食こじきをふんじばるんだ」
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ふんじばれ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ふんじばって落合の役所へ引いても白状させずには置かねえ、さア云わねえか、云わなければ了簡が有る、おい云わねえか
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御覧の通りで仕様がありません。式作法には無いことだが、お藤の手足をふんじばって、そうして貴下あなたに差上げましょう、のう、お録、それがいじゃないか。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斬るべき万吉を斬らずにフンじばったり、ぬきや屋敷のしいの下で、そぼろ助広のさきでなぶってみたり、それはみな孫兵衛のねばりッこい悪の悦楽で、助広の刀をかまえる時も、女の肉をむさぼるにも
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)