総体そうたい)” の例文
旧字:總體
武蔵は幼少の頃、頭にちょうという腫物はれものを病んだことがある。そのため月代さかやきると醜いといって、生涯、ひたいを剃らずに、髪はいつも総体そうたいに伸ばしていた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はい、これは五十ねんばかりまへまではひと歩行あるいた旧道きうだうでがす。矢張やツぱり信州しんしうまする、さきは一つで七ばかり総体そうたいちかうござりますが、いや今時いまどき往来わうらい出来できるのぢやあござりませぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これにはなにか特別の理由もあるらしいが、総体そうたいに昔の人は歯をおもんじ、みしめて味の出るものをよろこんだにたいして、このごろは舌の触覚を主にするようになっている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
背材せたけはそうたかくはございませぬが、総体そうたい地色ぢいろしろで、それに所々ところどころくろ斑点まだらまじったうつくしい毛並けなみ今更いまさら自慢じまんするではございませぬが、まった素晴すばらしいもので、わたくしがそれにって外出そとでをしたときには