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ぜっけい
快川和尚の三十
棒で
鍛えあげられたかれである。目をひらけば、
絶景! と
叫ぶだろう。それくらいな
胆気はある、きっと、それくらいな
胆はすわっている。
前にも
申上げた
通り、
私の
修行場の
所在地は
山の
中腹の
平坦地で、
崖の
上に
立って
眺めますと、
立木の
隙間からずっと
遠方が
眼に
入り、なかなかの
絶景でございます。
「茶釜はひとまず
休憩、
絶景かな、絶景かな、げに春のながめは
一目千金……」
はてしもなくつづく
浅霞……
水と
空との
融け
合うあたりにほのぼのと
浮く
遠山の
影……それはさながら一
幅の
絵巻物をくりひろげたような、
実に
何とも
言えぬ
絶景でございました。
私はあまりの
絶景に
覚えずはっと
気息づまりました。