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きゅうりょう
「
万は、ひとり
者だから、
給料だけで、
足りぬはずはないのだがな。」と、
一人が
思案顔をしていうと
盆の十六日なので
鉱山も休んで
給料は
呉れ
畑の
仕事も
一段落ついて今日こそ一日そこらの木やとうもろこしを
吹く風も家のなかの
煙に
射す青い光の
棒もみんな二人のものだった。
ただ
給料を
貪っているに
過ぎん……そうして
見れば
不正直の
罪は、
敢て
自分ばかりじゃ
無い、
時勢にあるのだ、もう二百
年も
晩く
自分が
生れたなら、まるで
別の
人間であったかも
知れぬ。
しかし
俺は
有害なことに
務めてると
云うものだ、
自分の
欺いている
人間から
給料を
貪っている、
不正直だ、けれども
俺その
者は
至って
微々たるもので、
社会の
必然の
悪の一
分子に
過ぎぬ、
総て
町や