納得なつとく)” の例文
かう云はれて「彼女は無理もない涙を流した。」けれど、私がひどく嚴格な顏をしはじめたので、とう/\納得なつとくして涙をぬぐつた。
運命うんめいだなあ」とつて、茶碗ちやわんちやうまさうにんだ。御米およねはこれでも納得なつとく出來できなかつたとえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それを漸々やう/\納得なつとくさせて、二人の歸りの汽車賃と、自分のは片道だけで可いといふので、兼から七圓に定次郎から五圓、先づ體の可い官費旅行の東京見物を企てたのであつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
無理にも納得なつとくさせねばならぬと、の通りの御意気込み、其れに旦那様だんなさまも、梅も余りらひして居る中に、年を取り過ぎる様なことがあつてはと云ふ御心配で御座いましてネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
みかどさらおきな御命令ごめいれいくだして、もしひめ宮仕みやづかへにさしすならば、おきなくらいをやらう。どうにかしてひめいて納得なつとくさせてくれ。おやで、そのくらゐのことの出來できぬはずはなからうとおほせられました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
斯う云ふと、長女は初めて納得なつとくしたやうにうなづいた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
致されよと言ければ三吉納得なつとくなし先以御教おんをしへ忝けなししかし如何いたして誣頼ねだり申べきやと聞に小猿夫は豫々かね/″\出入は申すまじと堅く申合せし事なれ共斯樣々々のわけにて詮方せんかたなく參りたりと申されよと言含いひふくめしかば三吉は委細ゐさい承知しようちして立歸り翌日本郷六丁目へ尋ね行て表より甲州屋仁左衞門殿とは此方にて候やと申入ければ番頭は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女等も默つて私が何も云はずに行ふ計畫を納得なつとくしてくれたのであつた。
また、さうであるやうにと望んだ人間であることを納得なつとくさせた。