トップ
>
粟立
>
あわだ
ふりがな文庫
“
粟立
(
あわだ
)” の例文
コンクリートのゆかが、妙にビンビンして動脈がみんな凍ってしまいそうに肌が
粟立
(
あわだ
)
ってくる。酸っぱい酒の匂いが臭くて焦々する。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
合点が行ったら八万四千の。身内の毛穴がゾクゾク
粟立
(
あわだ
)
つ。そんじょ、そこらの地獄の話じゃ……チャカポコチャカポコチャカポコチャカポコ……
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それはちょうど、毛虫の嫌いな者が
衿首
(
えりくび
)
へ毛虫を入れられでもしたような、しんそこ肌が
粟立
(
あわだ
)
つという感じであった。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで自然の成行きに任せて裏門から逃げ出し、ちょっとの
間
(
ま
)
に彼はもう
土穀祠
(
おいなりさま
)
の宮の中にいた。阿Qは坐っていると肌が
粟立
(
あわだ
)
って来た。彼は冷たく感じたのだ。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
二重
(
ふたえ
)
の
玻璃窓
(
ガラスまど
)
をきびしく
鎖
(
とざ
)
して、大いなる
陶炉
(
とうろ
)
に火を
焚
(
た
)
きたる「ホテル」の食堂を出でしなれば、薄き
外套
(
がいとう
)
をとおる午後四時の寒さはことさらに堪えがたく、
膚
(
はだ
)
粟立
(
あわだ
)
つとともに
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
まったくその絵が絵として眼に映ると、彼の背筋がきゅうにぞくぞく
粟立
(
あわだ
)
ってきた。なぜか恐ろしさと恥しさとに打たれて、彼は棒立ちになった。子供たちもまた緊張して声をのんだ。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
下には直ぐに、薄桃色の曲線と、
円味
(
まるみ
)
を持った
面
(
おもて
)
とが、三十年近く生きて来て、たるんでいた。毛穴が、早春の地中海の夜気を呼吸して、全体をすこし
粟立
(
あわだ
)
たせているように、私は観察した。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それなのに宇治の背中は追手をひしひしと感じて
粟立
(
あわだ
)
ち始めて来たのだ。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
私は
咄嗟
(
とっさ
)
の間に、わざとらしい豪傑笑いをした。トタンに横腹がザワザワと
粟立
(
あわだ
)
って、何かしら悲痛な熱いものが、胸先へコミ上げて来るのをグッと
嚥
(
の
)
み下した。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが卯兵衛だということはわかっていながら、とびあがりそうになり、全身が
粟立
(
あわだ
)
った。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
純一は
忽
(
たちま
)
ち肌の
粟立
(
あわだ
)
つのを感じた。そしてひどく
刹那
(
せつな
)
の
妄想
(
もうそう
)
を
慙
(
は
)
じた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そんな風に、急に気軽く砕けて来た軍医大佐のあたたかい笑い声を聞くと同時に、私の全身がゾオッと
粟立
(
あわだ
)
って来た。頭の毛が一時にザワザワザワと
逆立
(
さかだ
)
ち初めた。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
冷たい手でふいに背筋を
撫
(
な
)
でられでもしたように、肌が
粟立
(
あわだ
)
つのをはっきりと感じ、われ知らず立ちあがって妻のほうへいった。ふさは過去のことを思いだしたのだ、と彼は直感した。
その木戸を通って
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……背筋がヒヤリとすると同時に全身がゾ——ッと
粟立
(
あわだ
)
つ……お尻がチクリとするかしないかに『アッ』と飛び上る……という、それ程左様に迅速敏活を極めているのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
江戸には珍しく粉雪をまじえた風が、焼けて黒い骨のようになった
樹立
(
こだち
)
をひょうひょうと休みなしに吹き揺すっていた。寒いというより痛い、
粟立
(
あわだ
)
った膚を針でうたれるような感じである。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
肌を
粟立
(
あわだ
)
たせるまでの経路を考えて来ると、
最早
(
もはや
)
、数理的な頭ではカイモク見当の付けようの無い神秘作用みたようなものになって行くのが、重ね重ね腹が立って仕様がなかった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は
開
(
あ
)
いた口が
塞
(
ふさ
)
がらなくなった。そのまま
眼球
(
めだま
)
ばかり動かして、キョロキョロとそこいらを見まわしていたようであったが、そのうちにハッと眼を
据
(
す
)
えると、私の全身がゾーッと
粟立
(
あわだ
)
って来た。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白々とした女の首や、手足や、唇や、腹部の幻像を、真暗な彼の眼の前に、千切れ千切れに渦巻かせながら、全身が
粟立
(
あわだ
)
って、クラクラと発狂しそうになるまで、彼の盲情をソソリ立てるのであった。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と思ううちに、全身がゾーッと
粟立
(
あわだ
)
って来た。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
粟
漢検準1級
部首:⽶
12画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“粟”で始まる語句
粟
粟田口
粟粒
粟津
粟餅
粟田
粟飯
粟生
粟野
粟津子