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粘々
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ねばねば
ふりがな文庫
“
粘々
(
ねばねば
)” の例文
ただ黒い
瓶
(
かめ
)
を一具、尻からげで坐った腰巻に引きつけて、
竹箆
(
たけべら
)
で
真黒
(
まっくろ
)
な液体らしいものを練取っているのですが、
粘々
(
ねばねば
)
として見える。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もがけばもがくほど
粘々
(
ねばねば
)
しい瀉の吸盤に吸ひ込まれて、苦しまぎれに斷末魔、爪を掻きちらした一種異樣の恐ろしい粘彩畫の上を
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
(牛の肉の中で一番上等が
此
(
こ
)
の舌だといふのは
可笑
(
をか
)
しい。
涎
(
よだ
)
れで
粘々
(
ねばねば
)
してる。おまけに黒い
斑々
(
ぶちぶち
)
がある。歩け。こら。)
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのきれいな貝殻は、見すぼらしい
粘々
(
ねばねば
)
した動物の家だ。お伽話の中の妖精も、こんなにきれいなものは持つてゐない。まあ、なんてきれいなものだらう!
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
三日、四日と少しは慣れたものの、腹に一物も無くなつては、「考へて見れば
目的
(
めあて
)
の無い旅だ!」と言つた様な、
朦乎
(
ぼんやり
)
した
悲哀
(
かなしみ
)
が、
粘々
(
ねばねば
)
した唾と共に湧いた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
粘々
(
ねばねば
)
として、弾力を持った、暖かい彼女の舌が、さぞ醜くいであろう傷の上を、引ずるように、過ぎる度に、黒吉の昂ぶった神経は、ズーン、ズーンと半身を駈下って、足元に衝突した。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
少し
粘々
(
ねばねば
)
しすぎる。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
(牛の肉の中で一番
上等
(
じょうとう
)
が
此
(
こ
)
の舌だというのは
可笑
(
おか
)
しい。
涎
(
よだ
)
れで
粘々
(
ねばねば
)
してる。おまけに黒い
斑々
(
ぶちぶち
)
がある。歩け。こら。)
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
十歩ばかり先に立って、一人男の
連
(
つれ
)
が居た。
縞
(
しま
)
がらは分らないが、くすんだ
装
(
なり
)
で、青磁色の
中折帽
(
なかおれぼう
)
を前のめりにした
小造
(
こづくり
)
な、
痩
(
や
)
せた、形の
粘々
(
ねばねば
)
とした男であった。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手を取って
引立
(
ひった
)
てられた——宰八が見た飛石は、魅せられた仁右衛門の幻の目に、すなわち御新姐の胸であったのである、足もまだ
粘々
(
ねばねば
)
する、手はこの通り血だらけじゃ、と
戦
(
おのの
)
いたが
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日中
(
ひなか
)
は
硝子
(
ビイドロ
)
を焼くが如く、
嚇
(
かっ
)
と晴れて
照着
(
てりつ
)
ける、が、
夕凪
(
ゆうなぎ
)
とともに
曇
(
どん
)
よりと、水も空も疲れたように、ぐったりと雲がだらけて、
煤色
(
すすいろ
)
の飴の如く
粘々
(
ねばねば
)
と
掻曇
(
かきくも
)
って、日が暮れると墨を流し
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口中に熱あり、歯の浮く御仁、
歯齦
(
はぐき
)
の
弛
(
ゆる
)
んだお人、お立合の中に、もしや万一です。口の臭い、舌の
粘々
(
ねばねば
)
するお方がありましたら、ここに出しておきます、この芳口剤で一度
漱
(
うがい
)
をして下さい。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
粘
常用漢字
中学
部首:⽶
11画
々
3画
“粘”で始まる語句
粘
粘土
粘液
粘着
粘着力
粘膜
粘付
粘力
粘着性
粘氣