まど)” の例文
夏の夜、まどの外にいつも青蝿のジイジイという悠長な叫びを聞くが、これはきっと宮守やもりに食われたのだろう。わたしは前には一向そんなことに気を留めなかった。
兎と猫 (新字新仮名) / 魯迅(著)
まだ維廉ヰルヘルム一世の街に臨めるまどに倚り玉ふ頃なりければ、樣々の色に飾り成したる禮裝をなしたる、かほよき少女の巴里まねびの粧したる、彼も此も目を驚かさぬはなきに
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
まど硝子越がらすごしに海上かいじやうながめると、電光艇でんくわうていほしひかりびて悠然いうぜん波上はじやううかんでる、あゝこのていもかく竣成しゆんせいした以上いじやうは、いまから一週間いつしゆうかんか、十以内いないには、萬端ばんたん凖備じゆんびをはつて
いのちつゞきがたく、つぐべきちからたえては、或は一日乃至五日、既に法華經讀誦どくしようの音も絶へぬべし。止觀しくわんまどの前には草しげりなん。かくの如く候に、いかにして思ひ寄らせ給ひぬならん。
歳越としこしの日などはいづれの家にてもことさらに雪をほりまどのあかりをとり、ほりたる雪も年越としこしの事しげきにまぎれて取除とりのけをはらず、掘揚ほりあげ屋上やねにひとしき雪道歩行あゆむにたよりあしき所もあり。
「ふるき仲間も遠く去れば、また日頃顏合せねば、知らぬ昔とかはりなきはかなさよ。春になれば草の雨。三月、櫻。四月、すかんぽの花のくれなゐ。また五月にはかきつばた。花とりどり、人ちりぢりの眺め。まどの外の入日雲。」
すかんぽ (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
やぶれしまどに身をなげて
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わがまどのそと
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
胸張り肩そびえたる士官の、まだ維廉ヰルヘルム一世の街に臨めるまどり玉ふ頃なりければ、様々の色に飾り成したる礼装をなしたる、かほよ少女をとめ巴里パリーまねびのよそほひしたる、彼も此も目を驚かさぬはなきに
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)