さが)” の例文
さるに香央かさだが家の事は、神の四一けさせ給はぬにや、只秋の虫のくさむらにすだくばかりの声もなし。ここにうたがひをおこして、此のさがを妻にかたらふ。妻四二更に疑はず。
一 下女を使つかうに心をもちうべし。言甲斐いいがいなき下﨟げろうならわあしくて知恵なく、心奸敷かしましくものいうことさがなし。夫のこと舅姑こじゅうとのことなど我心に合ぬ事あれば猥にそしきかせて、それを却て君の為と思へり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
時に取ってのさがとも覚えられぬを、あな喜ばしの祥兆といえるは、余りに強言きょうげんに聞えければ、燕王もこらえかねて、和尚おしょう何というぞや、いずくにか祥兆たるを得る、と口を突いてそゞろぎののしる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さがもなき預言かねごとのため、折からのけぢめはあれど
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さがなくも怪鳥けてう叫びぬ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
此の日やそら晴れて、六四千里ちさとに雲のたちゐもなく、六五草枕旅ゆく人のむれ々かたりゆくは、けふは誰某たれがしがよき京入みやこいりなる。此のたび商物あきものによき六六徳とるべき六七さがになん、とて過ぐ。
さがもなき預言かねごとのため、折からのけぢめはあれど
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
一二二物のはじめにいなみなんは一二三さがあしければとて、とりてをさむ。今夜こよひはここにあかさせ給へとて、一二四あながちにとどむれど、まだ一二五ゆるしなき旅寝は、親の一二六つみし給はん。