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相乘
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あひのり
だが
其のいづれの
相乘にも、
齊しく
私の
關せざる
事は
言ふまでもない。とにかく、
色氣も
聊か
自棄で、
穩かならぬものであつた。
自動車に
相乘して、
堂々と、
淺草、
上野、
銀座を
飛ばす、
當今の
貴婦人紳士と
雖も、これを
見たら
一驚を
吃するであらう。
誰も
口癖に
言ふ
事だが、
實に
時代の
推移である。
第一色氣があつて
世を
憚らず、
親不孝を
顧みざる
輩は、
男女で
相乘をしたものである。
旦那お
相乘參りませう、と
折よく
來懸つた
二人乘に
這ふやうにして
二人乘込み、
淺草まで
急いでくんな。
安い
料理屋で
縁起直しに
一杯飮む。
此處で
電燈がついて
夕飯を
認め、やゝ
人心地になる。