“盗(や)” の例文
旧字:盜
「井戸辺(いどばた)に出ていたのを、女中が屋後(うら)に干物に往(い)ったぽっちりの間(ま)に盗(や)られたのだとサ。矢張(やっぱり)木戸が少しばかし開(あ)いていたのだとサ」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「鶏を……。誰に盗(や)られたろう。又、銀山の鉱夫の悪戯(いたずら)かな。」と、若い主人は少しく眉を顰(ひそ)めて、雇人(やといにん)の七兵衛老爺(じじい)を顧(みかえ)った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とすると、こいつア上方のちぼ流でねえ、江戸の掏摸(すり)だ。定めし小粒でもないだろうに、盗(や)られた奴も変っている、何だって俺を
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お話中だが、イヷン・イヷーヌィチ」と私は言った、「ライ麦二十俵は僕のところで盗(や)られたのだ。知事へ電報を打ったというのは僕さ。ペテルブルグへも打ったよ。 ...
妻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「お互ッて、じゃ今来た愛吉ッてのもちょいちょい盗(や)るの。」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ盗(や)られた」
「まア、真実(ほんと)に油断がならないね。大丈夫私は気を附けるが、お徳さんも盗(や)られそうなものは少時(ちょっと)でも戸外(そと)に放棄(うっちゃ)って置かんようになさいよ」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「小旦那(こだんな)……小旦那……。昨夜(ゆうべ)も亦(また)、彌作(やさく)の内で鶏を盗(や)られたと云いますよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「去年は、途中で賊のために、盗(や)られたとかいう噂だったが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そら近頃(このごろ)出来たパン屋の隣に河井様(さん)て軍人さんがあるだろう。彼家(あそこ)じゃア二三日前に買立の銅(あか)の大きな金盥(かなだらい)をちょろりと盗(や)られたそうだからねえ
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そこで、昨夜(ゆうべ)も彌作の許(ところ)で鶏を盗(や)られたんだね。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あッ! 盗(や)られたッ——」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう盗(や)られたか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)