白脛しろはぎ)” の例文
ただその上下うえした装束そうぞくにも、支度の夜は丑満うしみつ頃より、女紅場じょこうばに顔を揃えて一人々々沐浴ゆあみをするが、雪のはだえも、白脛しろはぎも、その湯は一人ずつべにを流し、白粉おしろい汲替くみかえる。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水弄みずいじりをしていると、もう手先の冷え冷えする秋のころで、着物のまくれた白脛しろはぎ脇明わきあきのところから、寝熱ねぼてりのするようなはだに当る風が、何となく厭なような気持がした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お孝はゆるんだ伊達巻の、ぞろりと投遣りのもすそきながら、……踊で鍛えた褄は乱れず、白脛しろはぎのありとも見えぬ、蹴出捌けだしさばきで、すっと来て、二階の縁の正面に立ったと思うと
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こひは、それこひでせう。が、たまのやうな眞白まつしろな、あのもり背景はいけいにして、ちういたのが、すつとあはせた白脛しろはぎながす……およ人形にんぎやうぐらゐな白身はくしん女子ぢよし姿すがたです。られたのぢやありません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
身悶みもだえして帯を解棄て、毛を掻挘かきむしまげこわせば、鼈甲べっこうくし黄金笄きんこうがい、畳に散りて乱るるすがた、蹴出す白脛しろはぎもすそからみ、横にたおれて、「ええ、悔しい!」柳眉りゅうびを逆立て、星眼血走り、我とわが手に喰附けば
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)