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しろはぎ
お孝は
弛んだ伊達巻の、ぞろりと投遣りの
裳を
曳きながら、……踊で鍛えた褄は乱れず、
白脛のありとも見えぬ、
蹴出捌きで、すっと来て、二階の縁の正面に立ったと思うと
鯉は、
其は
鯉でせう。が、
玉のやうな
眞白な、あの
森を
背景にして、
宙に
浮いたのが、すつと
合せた
白脛を
流す……
凡そ
人形ぐらゐな
白身の
女子の
姿です。
釣られたのぢやありません。
と是から
灯を増し折から月が
皎々と
差上りまして、前の泉水へ映じ、
白萩は露を含んで月の光りできら/\いたして
居る中へ
灯を置きまして、
此方には芸者が並んで居りますから