猫柳ねこやなぎ)” の例文
お嬢さんははっとした彼をうしろにしずしずともう通り過ぎた。日の光りをかした雲のように、あるいは花をつけた猫柳ねこやなぎのように。………
お時儀 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かわつつみたとき、紋次郎君もんじろうくん猫柳ねこやなぎえだってかねにささげた。ささげたといっても、かねのそばにおいただけである。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その後にも『猫柳ねこやなぎ』という随筆集を出した。しかも「十番雑記」の一文はどれにも編入されていない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一方にはまた我々のいう猫柳ねこやなぎ、春さき銀色のやわらかな毛でおおわれた若芽をつけて、それがまたやや猫か犬かの形に似ているものも、山陰その他のかなり弘い地域にわたって
おかむ沙魚なんです。あしの根からい上がって、其処そこらへ樹上きのぼりをする……しょううおだからね、あまり高くは不可いけません。猫柳ねこやなぎの枝なぞに、ちょんとまってましている。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真正ほんとうね。まるで猫柳ねこやなぎですわ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
猫柳ねこやなぎ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それが今不意に目の前へ、日の光りをかした雲のような、あるいは猫柳ねこやなぎの花のような銀鼠ぎんねずみの姿を現したのである。彼は勿論「おや」と思った。
お時儀 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すると、みんなは、われもわれもと、猫柳ねこやなぎをはじめ、ももや、まつや、たんぽぽや、れんげそうや、なかにはペンペンぐさまでとってかねにささげた。かねはそれらのはなでうずまってしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)