狹霧さぎり)” の例文
新字:狭霧
荷馬橇の馬は、狹霧さぎりの樣な呼氣いきかぶつて氷の玉を聨ねたたてがみを、寒い光に波打たせながら、風に鳴る鞭を喰つて勢ひよく駈けて居た。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
四人の帰化入籍、遺言書の作成と続いて、算哲の自殺に逢着すると、突如なまぐさ狹霧さぎりのような空気が漲りはじめた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
この神、若晝女わかひるめの神に娶ひて生みませる子、天の日腹大科度美ひばらおほしなどみの神。この神、天の狹霧さぎりの神の女遠津待根とほつまちねの神に娶ひて生みませる子、遠津山岬多良斯とほつやまざきたらしの神。
われは人の若語しかかたるを聞きて、かねてよりポツジヨに親まんことを願ひしかば、今ゆくりなくこれに逢ひて、心にこの邂逅を喜び、早く胸の狹霧さぎりのこれがために晴るゝを覺えき。
「おりう、」とおもはず抱占だきしめたときは、淺黄あさぎ手絡てがらと、ゆきなすうなじが、あざやかに、狹霧さぎりなかゑがかれたが、る/\、いろがあせて、うすくなつて、ぼんやりして、一體いつたいすみのやうになつて、やがて
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
月の夜はいとどかぐろきの森を田には狹霧さぎりの引きわたるめり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
夢かは、うつ狹霧さぎりのこの世去らば
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
おもわに狹霧さぎり
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あめ眞名井まなゐ一一に振り滌ぎて、さみにみて、吹き棄つる氣吹いぶき狹霧さぎりに成りませる神の御名一二は、多紀理毘賣たぎりびめの命、またの御名は奧津島比賣おきつしまひめの命といふ。
狹霧さぎり立つ月の夜さりは村方むらかたの野よかうばしく麥こがし
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たそがるる狹霧さぎり路岐ちまた
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
この大山津見の神、野椎の神の二神ふたはしら、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、天の狹土さづちの神。次に國の狹土の神。次に天の狹霧さぎりの神。次に國の狹霧の神。次に天の闇戸くらとの神。次に國の闇戸の神。
狹霧さぎりひらかむ夢もがな
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひびくゑまひの狹霧さぎり
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
船も狹霧さぎり海原うなばら
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)