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物具
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もののぐ
ふりがな文庫
“
物具
(
もののぐ
)” の例文
その時、絶壁の遥か上、高原に当たって騎馬武者の音、馬の
嘶
(
いなな
)
き、
物具
(
もののぐ
)
の
響
(
ひびき
)
、それらに
雑
(
まじ
)
って若い女の悲鳴が
幽
(
かす
)
かに聞こえて来た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
董承もそれに励まされて、
物具
(
もののぐ
)
を着こみ、槍をひッさげ、郎党の寄せる馬上へとび移るや、
攻
(
せ
)
め
鼓
(
つづみ
)
の
潮
(
うしお
)
とともに、相府の門へ
襲
(
よ
)
せかけた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご承知のように、わたくし共女子や子供たちの多くは、お触れによってずっと城中にあがり、矢竹つくりやお
物具
(
もののぐ
)
のお手入れを
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
清盛公は鎧を召され、侍どももすべて
物具
(
もののぐ
)
の用意をいたし、唯今より、法住寺殿へ押しかけるご決意のようでございます。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
右衛門も普通の人間がつくぐらいの嘘はつくことができた。彼は乱軍の中で主人と別れ別れになった不幸をはじめとし、世を忍ぶために
物具
(
もののぐ
)
を自分で捨てた話などを、言葉巧みにした。
三浦右衛門の最後
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
こよいはことに夜廻りをきびしくし、すべて、
物具
(
もののぐ
)
を解かず、昼夜四交代の制をそのまま、かりそめにも防備の気をゆるませぬように励まれよ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西八条の屋敷近くまでくると、
甲冑
(
かっちゅう
)
、
物具
(
もののぐ
)
をつけた兵士達が、満ち溢れて、どことなく緊迫した空気が
漂
(
ただよ
)
っている。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
物具
(
もののぐ
)
の音を響かせるかと思うと、今度は三味線を鳴らすとあっては、こっちこそ見当が付きゃアしない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
むろんでたらめであるが、ごらん候え、これに
物具
(
もののぐ
)
一領、長刀ひとえだ、またあれに馬をも一
疋
(
ぴき
)
つないで持ちて候。というくだりは、ふしぎに実感がこもって、みんなふと息をひそめた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのうえ、このたびはまた、御一族あまさぬお覚悟の
戦立
(
いくさだ
)
ち。……良人だけが
物具
(
もののぐ
)
捨ててよいものでございましょうか。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物具
(
もののぐ
)
の点検をしながら
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「このところ転戦また転戦、
物具
(
もののぐ
)
を解くひまもなかろう。したがよく諸方で軍功をあげた。さすが父の名を恥かしめぬ者。お
上
(
かみ
)
の御嘉賞もひとかたでないぞ」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曹休の郎党は、みな
物具
(
もののぐ
)
をつけて、戸外に整列し、火の手を見ながら、主人の命を待っていたところである。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「留守か。では爺、そちが
下赤坂
(
しもあかさか
)
の城へひきつれて行け。そして
物具
(
もののぐ
)
奉行の
佐備
(
さび
)
正安へ渡すがよい。さきにも諸職の
工匠
(
たくみ
)
が入っていること。正安が心得おろう」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし正成は、さして
焦慮
(
しょうりょ
)
を抱いたふうでもない。——参内の二十一日の朝は、早くに
物具
(
もののぐ
)
を着け、さて、門を出るさいに、初めて
甥
(
おい
)
の楠木弥四郎にたずねていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
じつあ楠木家からも、
物具
(
もののぐ
)
の
繕
(
つくろ
)
いがたまっているから諸職の職人二、三十人よこせといわれていたんです。だがここのとこ、手不足なので、まだ十人ほどしかやっておりません。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とすぐ
物具
(
もののぐ
)
に身をかため内院へすすみ、二夫人に
仔細
(
しさい
)
を語って、しばしの別れを告げた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったくの
烏合
(
うごう
)
の勢にひとしく、得物や
物具
(
もののぐ
)
も雑多だったが、ただ若い肉体は見事に揃っていた。そして
凄
(
すさ
)
まじい争闘心がどの眼にもぎらついているのには、山木勢も胆を冷やした。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ただいま、ご舎弟も見にゆかれましたが、何やら、ご家中の血気者が
物具
(
もののぐ
)
取って、
扇
(
おおぎ
)
ヶ
谷
(
やつ
)
へ仕返しに行くとか、いや先から
襲
(
よ
)
せて来るとか、ただ事ならぬ騒ぎのようにござりまする」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正季は
曲輪
(
くるわ
)
の内へ入って、
物具
(
もののぐ
)
奉行の
佐備
(
さび
)
正安に会い、やがてまた、ただ一人で、
外曲輪
(
そとぐるわ
)
のガタガタする長い板廊下を踏んで、
物具倉
(
もののぐぐら
)
と共にあるだだッ広い
武者溜
(
むしゃだま
)
りの
床
(
ゆか
)
を覗きに行った。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その老幼までをあげて身の
物具
(
もののぐ
)
もあわただしく、すべて辻の木戸や浜べ口にむらがり出て、尊氏の駒を迎え、「——先は知らず、ただ大殿が行く所へ」と、いのちを託していたのだった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もちろん
蟄居
(
ちっきょ
)
の身のままであるから、ここにも、
物具
(
もののぐ
)
を着けた警固はつく。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
を、陣中の法規として、自身も日中は
物具
(
もののぐ
)
すら解かなかった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「と、申すほどでもありませんが、天見ノ五郎の紹介で、昨年頃から、折々、
物具
(
もののぐ
)
の手入れなどさせている柳斎という実直者。住吉の店へも、両三度立ち寄ったこともあり、その辺は、心配な者ではございませぬ」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相当な身分らしい
物具
(
もののぐ
)
を着けた、姫路藩の
将
(
しょう
)
が
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いちど、わが家の
物具
(
もののぐ
)
も
鑑
(
み
)
てもらおうか」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はや
物具
(
もののぐ
)
着
(
つ
)
けていたのである。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
具
常用漢字
小3
部首:⼋
8画
“物具”で始まる語句
物具蔵
物具倉