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深碧
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しんぺき
ふりがな文庫
“
深碧
(
しんぺき
)” の例文
耳を澄ますと、四山の樹々には、さまざまな
小禽
(
ことり
)
の
群
(
むれ
)
が
万華
(
まんげ
)
の春に歌っている。空は
深碧
(
しんぺき
)
に
拭
(
ぬぐ
)
われて、虹色の陽が
熔
(
とろ
)
けそうに
燦
(
かがや
)
いていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船首の突端へ行って海を見おろしていると
深碧
(
しんぺき
)
の水の中に桃紅色の
海月
(
くらげ
)
が群れになって浮遊している。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
白皚々
(
はくがいがい
)
たる御嶽山は、暮れ行く夕陽に照らされて、薄紅の
瑪瑙
(
めのう
)
のように
深碧
(
しんぺき
)
の空に
聳
(
そび
)
えている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
物凄いばかりの大
谿谷
(
けいこく
)
が横わり、両岸は空を打つかと見える絶壁が、眉を圧して打続き、その間に微動もしない
深碧
(
しんぺき
)
の水が、約半町程の幅で、眼も遙かに
湛
(
たた
)
えられているのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
先刻
(
せんこく
)
は
見送
(
みおく
)
られた
吾等
(
われら
)
は
今
(
いま
)
は
彼等
(
かれら
)
を
此
(
この
)
船
(
ふね
)
より
送
(
おく
)
り
出
(
いだ
)
さんと、
私
(
わたくし
)
は
右手
(
めて
)
に
少年
(
せうねん
)
を
導
(
みちび
)
き、
流石
(
さすが
)
に
悄然
(
せうぜん
)
たる
春枝夫人
(
はるえふじん
)
を
扶
(
たす
)
けて
甲板
(
かんぱん
)
に
出
(
で
)
ると、
今宵
(
こよひ
)
は
陰暦
(
いんれき
)
十三
夜
(
や
)
、
深碧
(
しんぺき
)
の
空
(
そら
)
には一
片
(
ぺん
)
の
雲
(
くも
)
もなく
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
「ふしぎな? ……」と、彼は、つぶらな眼をじっとこらして、見ても見ても見飽かぬように、
深碧
(
しんぺき
)
な、そして深く澄んだ、空に見入っていることがあった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
碧
漢検準1級
部首:⽯
14画
“深”で始まる語句
深
深山
深傷
深淵
深更
深切
深川
深夜
深々
深沈