トップ
>
洋琴
>
ピアノ
ふりがな文庫
“
洋琴
(
ピアノ
)” の例文
「
貴君
(
あなた
)
は文化的な生活はお嫌ひのやうに承はつてゐましたから、実は
洋琴
(
ピアノ
)
の方も余りお好きではないか知らと思つてゐましたので……」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
なるほど
洋琴
(
ピアノ
)
の
音
(
ね
)
もやみ、犬の声もやみ、鶏の声、鸚鵡の声も案のごとく聞えなくなったが下層にいるときは考だに及ばなかった寺の鐘
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
考えても——
上
(
あが
)
り
端
(
ばな
)
には萌黄と赤と上草履をずらりと揃えて、廊下の奥の大広間には
洋琴
(
ピアノ
)
を備えつけた館と思え——
彼奴
(
きゃつ
)
が風体。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでも
長椅子
(
ソーファ
)
の
背後
(
うしろ
)
、装飾戸棚、暖炉横の
洋琴
(
ピアノ
)
の陰、窓のカーテンの脹み、箪笥の扉、ありとあらゆるところはことごとく調べてみた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
円い
磨硝子
(
すりがらす
)
の笠をかけた
朦朧
(
もうろう
)
たるランプの火影に、十九歳のロザリンが
洋琴
(
ピアノ
)
を弾きながら低唱したあのロマンスのなつかしさ。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
音楽者の癖で、曾根が手の指は無心に
洋琴
(
ピアノ
)
の鍵盤に触れるように動いた。これはそう
旧
(
ふる
)
いことでも無かった。急に、三吉はこの人と親しみを増すように成った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だいたい鐘には、
洋琴
(
ピアノ
)
みたいに振動を止める装置がないので、これほど残響のいちじるしいものはない。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ああ、まだある、それから
洋琴
(
ピアノ
)
のほかに
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「いや、どうして/\、
洋琴
(
ピアノ
)
は大好きでさ。」小説家はこれまでいろんな荒仕事をして来たらしい、
巌丈
(
がんぢやう
)
な両肩を
揺
(
ゆす
)
ぶりながら笑つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こんな事なら琴の代りに
洋琴
(
ピアノ
)
でも習って置けば善かった。英語も昔のままで、今はおおかた忘れている。
阿父
(
とうさま
)
は女にそんなものは必要がないとおっしゃる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
居間からは
洋琴
(
ピアノ
)
の音が洩れたりレコードが奏でられたり、そして昼は庭の
常春藤
(
きづた
)
の陰に
卓子
(
テーブル
)
を
拵
(
しつら
)
えさせて、そこで食事を取っていたようであったが、かれこれちょうど二
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その時岸本はある舞台の上で見た近代劇の年老いた主人公をふと胸に浮べた。その主人公の
許
(
ところ
)
へ
洋琴
(
ピアノ
)
を
弾
(
ひ
)
いて聞かせるだけの役目で雇われて通って来る若い娘を胸に浮べた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、その間に法水の推考が成長していって、ついに
洋琴
(
ピアノ
)
線のように張りきってしまった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「埋葬曲」は
洋琴
(
ピアノ
)
作曲家として
何人
(
なんびと
)
も企て及ばざる Chopin が藝術の極致を示したもので、
波蘭土革命
(
ポーランドかくめい
)
の騷亂に殉死した一青年の埋葬に戀する
許嫁
(
いひなづけ
)
の
少女
(
をとめ
)
が會葬の人々の立去つた
後
(
あと
)
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「その折親父は
卓子
(
テーブル
)
の上に乗つて逃げましたが、私は
洋琴
(
ピアノ
)
につかまつて、
漸
(
やつ
)
と
生命拾
(
いのちひろ
)
ひをしたやうな始末なんで。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
洋琴
(
ピアノ
)
を弾いている窓の下なぞで
投げ独楽
(
デアボロ
)
をしたり、
紫雲英
(
クローバー
)
を摘んだりして遊んでいるところを見ると、母は洋琴の手をやめて窓越しに、微笑みながら私たちの姿を眺めていたり
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
或時サローンに
這入
(
はい
)
ったら
派手
(
はで
)
な
衣裳
(
いしょう
)
を着た若い女が向うむきになって、
洋琴
(
ピアノ
)
を
弾
(
ひ
)
いていた。その
傍
(
そば
)
に背の高い立派な男が立って、唱歌を
唄
(
うた
)
っている。その口が大変大きく見えた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
曾
(
かつ
)
て彼は自分と節子との時代の隔たりを、ある近代劇中の老主人公と、
洋琴
(
ピアノ
)
を
弾
(
ひ
)
いて聞かせるだけの役目にあの主人公の
許
(
もと
)
へ通って来る若い娘との隔たりに
譬
(
たと
)
えて見たことがある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それを
洋琴
(
ピアノ
)
で喩えて云うと、最初〓の
鍵
(
キイ
)
を音の出ないように軽く押さえて、それから〓の鍵を強く打ち、その音が止んだ頃に〓の
鍵
(
キイ
)
を押さえた指を離すと、それからは妙に声音的な音色で
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ある時同じ露西亜生れのヤアシヤ・ハイフエツツといふ名高い少年
提琴手
(
ヴアイオリニスト
)
の独奏会が
紐育
(
ニユーヨーク
)
のある
楽堂
(
ホオル
)
で催されたので、友達のレオポルド・ゴドヰスキといふ
洋琴
(
ピアノ
)
弾
(
ひ
)
きと一緒に聴きに往つた事があつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
洋琴
(
ピアノ
)
の声、犬の声、鶏の声、
鸚鵡
(
おうむ
)
の声
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
洋
常用漢字
小3
部首:⽔
9画
琴
常用漢字
中学
部首:⽟
12画
“洋琴”で始まる語句
洋琴家
洋琴手