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泣出
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なきいだ
揚て
泣出すゆゑ越前守殿は
言葉靜にコリヤ/\三吉
最少と前へ出よ何も
怕事はなし
泣な/\サア/\
好物を遣はさうと
饅頭を紙に
載て與へられ是を
乍ち有りて、
迸れるやうにその声はつと高く揚れり。貫一は
愕然として枕を
欹てつ。女は
遽に
泣出せるなり。
つと
乗出してその
面に
瞳を据ゑられたる直行は、鬼気に襲はれて
忽ち寒く
戦けるなり。
熟くと見入る
眼を放つと共に、老女は
皺手に顔を
掩ひて
潜々と
泣出せり。
言掛る
騙なりとて一同立掛り
打擲して表へ
突出しければ大聲揚て
泣出し如何にも皆々疑はるゝは是非なけれど私しは
搖り
騙りをする樣な者にては決して之なしと
種々申し譯を
さと云に
皆々成程々々と云
乍ら首一ツ
持出してサア/\御座頭さんと渡しければ城富
是は/\
有難う御座りますと
押戴きわつとばかりに
泣出せしが變り果たる此有樣
嘸や御無念で御座りませう
然ながら
前世の
因縁と
思召し假令私の眼が見えねばとて長い
中には人間の一
念眞事の人殺しを