泣出なきいだ)” の例文
あげ泣出なきいだすゆゑ越前守殿は言葉ことばしづかにコリヤ/\三吉最少もつと前へ出よ何も怕事こはいことはなしなくな/\サア/\好物いゝものを遣はさうと饅頭まんぢうを紙にのせて與へられ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たちまち有りて、ほとばしれるやうにその声はつと高く揚れり。貫一は愕然がくぜんとして枕をそばだてつ。女はにはか泣出なきいだせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お通はわっと泣出なきいだしぬ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とばかりに泣出なきいだす。
つと乗出のりいだしてそのおもてひとみを据ゑられたる直行は、鬼気に襲はれてたちまち寒くをののけるなり。つくづくと見入るまなこを放つと共に、老女は皺手しわでに顔をおほひて潜々さめざめ泣出なきいだせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
言掛るかたりなりとて一同立掛り打擲ちやうちやくして表へ突出つきいだしければ大聲揚て泣出なきいだし如何にも皆々疑はるゝは是非なけれど私しはゆすかたりをする樣な者にては決して之なしと種々いろ/\申し譯を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さと云に皆々みな/\成程々々と云ながら首一ツ持出もちいだしてサア/\御座頭さんと渡しければ城富これは/\有難ありがたう御座りますと押戴おしいたゞきわつとばかりに泣出なきいだせしが變り果たる此有樣さぞや御無念で御座りませうさりながら前世ぜんせ因縁いんえん思召おぼしめし假令私の眼が見えねばとて長いうちには人間の一ねん眞事まことの人殺しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)