泣々なく/\)” の例文
泣々なく/\ずっとって来ますと、先刻せんこくから此の様子を聞いていまして、気の毒になったか、娘のおいさが紙へ三円包んで持ってまいり
あげ何卒なにとぞゆるしてたべわたしは源次郎といふをつとのある身金子が入なら夫より必ずお前にまゐらせん何卒我家へ回してと泣々なく/\わびるを一向聞ず彼の雲助くもすけは眼を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(略)おくま泣々なく/\箕輪みのわの無縁寺に葬むり、小万はお梅を遣ツては、七日/\の香華を手向けさせた。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
付て一同に通夜迄もなし翌朝よくあさ泣々なく/\野邊のべおくりさへいとねんごろに取行なひ妻の紀念かたみ孤子みなしご漸々やう/\男の手一ツにそだてゝ月日を送りけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
という意見が一々胸にこたえて、孝助はたゞへい/\有難うございますと泣々なく/\
何と申し又商賣しやうばい何渡世なにとせいなるやと尋ねられ寶澤は泣々なく/\父は源兵衞と申し餠屋商賣もちやしやうばいなりと口より出任でまかせこたへければ亭主は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と云いながら硯箱すゞりばこ引寄ひきよせますゆえ、おいさは泣々なく/\ふたを取り、なみだに墨をり流せば、手負ておいなれども気丈きじょうの丈助、金十万円の借用証書を認めて、印紙いんしって、実印じついんし、ほッ/\/\と息をつき
と無理に手へつかませてくれても、重二郎は貰うまいと思ったが、これを貰わなければ明日あしたからおふくろに食べさせるのに困るから、泣々なく/\貰いまして、あゝ親父おやじと違って、此の娘は慈悲のある者だと思って