河楊かはやなぎ)” の例文
河楊かはやなぎせて、あかかくした枸杞くこえだがぽつさりとれて、おほきなたで黄色きいろくなつてきしふねはがさりとへさきんだのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
河楊かはやなぎの空しい枝や、枯れた芦荻の夜風にそよいでゐる傍に、大きな船の碇泊してゐるのが二つも三つもあらはれ出して来た。黒い船体の底深く灯が覗かれるやうなのもあつた。
船路 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
垂りふかき河楊かはやなぎの根のそよそよ風鯉捕る網はすばしこく張る
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それでも其處そこにはもう幾度いくたびふねがつけられたとえて足趾あしあとらしいのが階段かいだんのやうにかたちづけられてある。勘次かんじ河楊かはやなぎえだけて他人ひと足趾あしあとんだ。えだがざら/\とかれござれてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鯉ひそむ河楊かはやなぎの根の底明りがぼがぼと棹に掻きみだしたれ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夏ごとに出水に水漬みづ河楊かはやなぎわた白うして老いにけるかも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
古池のそばにすがれし河楊かはやなぎ不意ふいにうごかす雀が白く
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)