水源みなもと)” の例文
自分の村を流れてゐる川といふ川の水源みなもとで、誰も知らぬ者の無い魔所であつて、何がむでゐるのか、昔からそれを知ツてゐる者が無いが
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あるいはあざけり、あるいはののしり、中にゃ独言ひとりごとを云うのも交って、人を憤り世を呪詛のろった声で、見ろ、見ろ、なんじ等、水源みなもとの秘密を解せず、灌漑かんがいの恩を謝せず、名を知らず
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水源みなもとは秋の日など隅田堤より遠く西のかたに青み渡りて見ゆる秩父郡の山〻の間にて、大滝村といへるがこの川の最上流に位する人里なれば、それより奥は詳しく知れねど
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
また、深い水源みなもとからはいろいろの考えが湧き出して、あたかもダイヤモンドやルビーがその泉の泡の中からでも光り輝くように、宝石のひかりを持った空想が湧き出した。
水源みなもとには夕だちつづきでもあることか、いつもより水勢のました大川の流れをものともせずに、しゅっしゅっと抜き手をきりながら向こう岸に泳ぎつこうとしたものでしたから
彼を知らずして是を論ずるのは、水源みなもとを知らずして末流すえを探るようなものであります。
金剛山を水源みなもととする、この水分川の要地にって、先祖代々、川下の河内平野、数十郷の百姓に、水利を与え、代りに年貢ねんぐをとっている楠木家がそれしきの兵法をわきまえずして
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄は不思議に思って、なおも奥ふかく進んでゆくと、桃の林の尽くるところに、川の水源みなもとがある。そこには一つの山があって、山には小さいほらがある。洞の奥からは光りが洩れる。
水源みなもと岩井沼いはゐぬまおこすとふ、浦川うらかはながれすゑが、ひろつてうみそゝところちかかつた。旅館りよくわんてまだいくほどもないところに——みちそばに、切立きつたてた、けづつた、おほきいはほの、矗々すくつのをた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水源みなもとを、岩井いはゐ大沼おほぬまおこすとふ、浦川うらかはけたはしわたつたころである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)