気早きばや)” の例文
旧字:氣早
それも、やっとのことで、どうにかブリッジにつなぎ留めると、第三班からどかどかと気早きばやの連中が降り出す。「あぶない、あぶない。」である。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
気早きばやな連中はもう引き揚げると見える。ところへ将軍と共に汽車を下りた兵士が三々五々隊を組んで場内から出てくる。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一行中の気早きばやの若者が、射撃を加えた。人影は峠の彼方かなたに消えた。一行はこれをきっかけに戦闘準備を整えて、二名の死刑囚を先登せんとうにして、まっしぐらに、峠へ駈け上がって見た。
科学時潮 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
今時の芸者もかうありたしとわれのたわむれにいひけるを、何事も気早きばやの八重、机の上にありける西洋鋏せいようばさみ手に取るより早く前髪ぷツつり切落し、鏡よ鏡よとて喜びさわぎしその名残なごりなりかし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
泰然自若たいぜんじじゃくとしてたゞ一人ひとり玄関指してまいりますと、表に居ります数多あまたの罪人が、「旦那、危ねえ、危ねえ、抜いてら/\、そうれやッつけろ」と気早きばやな連中は屋敷の内へ飛込もうと致します。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
気早きばやに向き返ってこうとする。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
忍剣にんけん気早きばやな肩をそびやかした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気早きばやせみが一つ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
気早きばやの人みだりにわれらを以て好古癖に捉はるるものとなすなかれ。われら真に良きものなれば何ぞ時の今古きんこと国の東西を云々うんぬんするのいとまあらんや。西班牙スペインに固有の橙紅色とうこうしょくあり。仏蘭西フランスに固有の銀鼠色ぎんねずみいろあり。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
向うずねぶっぱらえなんかと仰しゃるお気早きばやな方もございますが、正直に申すとまア左様そう言ったようなもので、門外おもてにたちました一中節の門付屋さんでげすが、しきりにうちなかをのぞいて居ります。
気早きばやなのは海中に飛び入り飛び入る。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
かれは、気早きばやに立ちあがって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)