欧羅巴ヨーロツパ)” の例文
旧字:歐羅巴
欧羅巴ヨーロツパの外交家達は、その懺悔録の前で、真つ赤になつて馬のやうに鼻を鳴らしたり、いぬのやうに取つ組み合を始めるに相違ない。
巽斎は是等のコレクシヨンを「皆考索の用とす」と言つた。唐山蛮方の地図の中には欧羅巴ヨーロツパ亜米利加アメリカの大陸もはるかに横はつてゐた筈である。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
流石さすがに、欧羅巴ヨーロツパ的教養を感じさせて、日本当局の御参考になつたと思ふが、この場合「旧劇」は百害あつて一利なきことを注意して欲しかつた。
日本映画の水準について (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
彼の父が始めて南蛮鋳物の術を習ひに幕府から欧羅巴ヨーロツパへ派遣させられた時の土産である小さい浮彫の鋳物を懐ろに入れると、包みを抱へてふらりと表へ出た。
「三百年も天下太平をもたらした徳川家が、兵戈へいくわも交へずして、こんなに簡単に政権をなげ出すとは、不思議千万である。欧羅巴ヨーロツパには、こんなバカ/\しい政変はかつてない。」
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
彼更に曰く、君はハイネの作を読めりや、欧羅巴ヨーロツパの年若き男女にしてハイネの恋の詩を知らざるはなし、彼等は単に我が祖国の光栄たるのみならず、また実に世界の詩人なり、と。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
欧羅巴ヨーロツパに漂浪のみぎり、私は五六年の間、仏蘭西フランスで百姓生活を営んで来た。
百姓日記 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
谺が消えてしまふとまた其を繰返す。童子の声は澄んで清い、そして或る節奏せつそうを持つた間を置いてそれを繰返してゐる。私は、自身欧羅巴ヨーロツパに来てゐることを確然と意識せざることを得なかつた。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
欧羅巴ヨーロツパも 東洋も
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
このごろ欧羅巴ヨーロツパの西部戦線にゐる英軍の塹壕ざんがう内では、彼方あつちでも此方こつちでもキツチナア元帥に遭つたといふ風説がさかんに行はれてゐる。
初めてみる東洋人、見るからに慓悍な軍人が一人と、欧羅巴ヨーロツパ風の外套に、毛糸の頸巻をした青年。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
彼等は過去の人物は勿論、現在の人物よりも油断はならぬ。いや彼等は彼等を造つた天才よりも長命である。耶蘇ヤソ紀元三千年の欧羅巴ヨーロツパはイブセンの大名をも忘却するであらう。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「こんな事では、欧羅巴ヨーロツパの檜舞台で目ざましい働きが出来ようとも思はれない。吾々が何を食ふべきかは実際大問題だ。」
この苜蓿は丹羽には圭介氏が明治の初年欧羅巴ヨーロツパへ往つた時、牧草としてはこんない草はないといふ事を聞いて、その種子たねをしこたま買ひ込んで帰つた事があつた。
欧羅巴ヨーロツパの戦線に派遣せられた米国の軍隊に、牛乳配達夫の召集せられたのが一人まじつてゐた。その男が最近郷里くに女房かないあてによこした手紙には、次のやうな文句があつた。
欧羅巴ヨーロツパ戦争は、交戦国に寡婦ごけさんをたんとこしらへたやうに、日本には成金をたんと生み出して呉れた。寡婦ごけさんと成金と、どちらも新生活の翹望者げうばうしやたる点において同じである。
紐育ニユーヨーク書店ほんやでふだん宗教物ばかり出版してゐる店が、欧羅巴ヨーロツパのいろんな国から、その代表的作家の代表的作物さくぶつを選んで何々叢書といつたやうな小説集を出版しようともくろんだものだ。
奔放な詩風で一代の人心——とりわけ若い婦人をんなの心を支配した頃は、欧羅巴ヨーロツパの青年達はみなバイロンのやうにその髪を長目にし、加之おまけにバイロンのやうにわざびつこをひいて歩いたものだ。
郵便切手を集める——といふと、何だか子供みた事のやうに思ふものが多い。また実際欧羅巴ヨーロツパの子供には切手を集めるに夢中になつて、日本人がたまに故国の郵便切手でも呉れてやると
不味まづいね。欧羅巴ヨーロツパの戦地ででもなくつちや、こんな珈琲は飲めないよ。」鼠骨氏はたつた今欧羅巴の戦場から来たやうな表情をして、少僮ボオイの顔を見た。「ところが、生憎あいにくここは日本でね。」
アルマ・グルツク女史といへば米国で名高い高調子の歌手ソプラノ・シンガアで、欧羅巴ヨーロツパの本場仕込しこみでなくて、グランド・オペラの一流株になつたのは、女史が皮切かはきりだといふ、米国ではちやきちやきの歌手うたひてである。