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きほう
ふりがな文庫
“
機鋒
(
きほう
)” の例文
「僕の有望な画才が
頓挫
(
とんざ
)
して
一向
(
いっこう
)
振わなくなったのも全くあの時からだ。君に
機鋒
(
きほう
)
を折られたのだね。僕は君に
恨
(
うらみ
)
がある」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
禅門の習いで、法問答を行うのが例であり、尼の
機鋒
(
きほう
)
の鋭さを知っているので、日頃、尼に振られていた
業腹
(
ごうはら
)
な連中も手ぐすね引いていたのである。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野枝さんも児供が産れる
度
(
たび
)
に、児供が
長
(
おお
)
きくなるごとに
青鞜
(
せいとう
)
時代の鋭どい
機鋒
(
きほう
)
が段々と
円
(
まる
)
くされたろうと思う。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お松が現われると、すっかり谷蔵の
機鋒
(
きほう
)
が
鈍
(
にぶ
)
ってしまうのが不思議であります。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
虹汀、修禅の
機鋒
(
きほう
)
を以て、身を転じて
虚
(
くう
)
を斬らせ、
咄嵯
(
とっさ
)
に大喝一下するに、
彼
(
か
)
の武士白刃と共に空を泳いで走る事数歩、懸崖の突端より踏み
外
(
はず
)
し、月光漫々たる海中に陥つて、
水烟
(
すいえん
)
と共に消え失せぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
「イヤ、最前の
雑言
(
ぞうごん
)
は、あれや禅坊主の奥の手でな、
機鋒
(
きほう
)
を
奪
(
と
)
るというやつだが、あの尼はビクともせん」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこでこの煮つめたところ、煎じつめたところが沙翁の詩的なところで、読者に電光の
機鋒
(
きほう
)
をちらっと見せるところかと思います。これは時間の上の話であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分がきめてもいいから楽ができなかった時にすぐ
機鋒
(
きほう
)
を転じて過去の
妄想
(
もうそう
)
を忘却し得ればいいが
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
機鋒
(
きほう
)
を
交
(
か
)
わして、柔軟にあしらいおき、
十重二十重
(
とえはたえ
)
のうちに撃つは何の造作でもない。だが、正成はころすな。なるべくは生けどれ。その令を、直義へつたえおくのだ。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
禅の
機鋒
(
きほう
)
は
峻峭
(
しゅんしょう
)
なもので、いわゆる
石火
(
せっか
)
の
機
(
き
)
となると
怖
(
こわ
)
いくらい早く物に応ずる事が出来る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
爺さんは少しく不本意の気味で「いや、御泣きか、なに? 爺さんが
恐
(
こわ
)
い? いや、これはこれは」と感嘆した。仕方がないものだからたちまち
機鋒
(
きほう
)
を転じて、小供の親に向った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてその強い調子が、どこまでも冷笑的に構えようとする彼の
機鋒
(
きほう
)
を
挫
(
くじ
)
いた。お延にはなおさらであった。彼女は驚ろいてお秀を見た。その顔は先刻と同じように
火熱
(
ほて
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いやなかなか
機鋒
(
きほう
)
の
鋭
(
する
)
どい女で——わしの所へ修業に来ていた
泰安
(
たいあん
)
と云う
若僧
(
にゃくそう
)
も、あの女のために、ふとした事から
大事
(
だいじ
)
を
窮明
(
きゅうめい
)
せんならん
因縁
(
いんねん
)
に
逢着
(
ほうちゃく
)
して——今によい
智識
(
ちしき
)
になるようじゃ
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
単純なこの
一言
(
いちごん
)
は急に津田の
機鋒
(
きほう
)
を
挫
(
くじ
)
いた。同時に、彼の語勢を飛躍させた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“機鋒”の意味
《名詞》
刀剣、矛などのきっさき。
鋭い攻撃。
(出典:Wiktionary)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
鋒
漢検準1級
部首:⾦
15画
“機”で始まる語句
機
機嫌
機会
機械
機會
機関
機織
機屋
機微
機智