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未嘗
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いまだかつて
ふりがな文庫
“
未嘗
(
いまだかつて
)” の例文
これは、邸内に
妙見
(
みょうけん
)
大菩薩があって、その神前の
水吹石
(
みずふきいし
)
と云う石が、火災のある
毎
(
ごと
)
に水を吹くので、
未嘗
(
いまだかつて
)
、焼けたと云う事のない屋敷である。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元来僕は何ごとにも
執着
(
しふぢやく
)
の乏しい性質である。
就中
(
なかんづく
)
蒐集
(
しうしふ
)
と云ふことには小学校に
通
(
かよ
)
つてゐた頃、昆虫の
標本
(
へうほん
)
を集めた以外に
未嘗
(
いまだかつて
)
熱中したことはない。
蒐書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
池中の蛙が驚いてわめいてる
中
(
うち
)
に、蛇は蛙を
啣
(
くは
)
へた儘、
芦
(
あし
)
の中へかくれてしまつた。
後
(
あと
)
の騒ぎは、恐らくこの池の
開闢
(
かいびやく
)
以来
未嘗
(
いまだかつて
)
なかつた事であらう。
蛙
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕は
当惑
(
とうわく
)
した。考えて見ると、何のためにこの船に乗っているのか、それさえもわからない。まして、ゾイリアなどと云う名前は、
未嘗
(
いまだかつて
)
、一度も聞いた事のない名前である。
Mensura Zoili
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
未嘗
(
いまだかつて
)
承り及ばざる所に御座候へば、切支丹宗門の邪法たる儀此一事にても
分明
(
ぶんみやう
)
致す可く、別して伴天連当村へ参り候節、春雷頻に震ひ候も、天の彼を憎ませ給ふ所かと推察仕り候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
また時にはいつになっても春を知らない峰を越えて、岩石の間に
棲
(
す
)
んでいる
大鷲
(
おおわし
)
を射殺しにも行ったりした。が、彼は
未嘗
(
いまだかつて
)
、その非凡な
膂力
(
りょりょく
)
を尽すべき、
手強
(
てごわ
)
い相手を見出さなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ことに、板倉本家は、
乃祖
(
だいそ
)
板倉四郎左衛門
勝重
(
かつしげ
)
以来、
未嘗
(
いまだかつて
)
、
瑕瑾
(
かきん
)
を受けた事のない名家である。二代又左衛門
重宗
(
しげむね
)
が、父の跡をうけて、
所司代
(
しょしだい
)
として
令聞
(
れいぶん
)
があったのは、数えるまでもない。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
而
(
しかう
)
してその
隆盛
(
りうせい
)
に至りし
所以
(
ゆゑん
)
のものは、有名の学士
羅希
(
らき
)
に
出
(
いで
)
て、之れが改良を
謀
(
はか
)
るに
由
(
よ
)
る。然るに
吾邦
(
わがくに
)
の学者は
夙
(
つと
)
に
李園
(
りゑん
)
(原)を
鄙
(
いやし
)
み、
措
(
おい
)
て
顧
(
かへり
)
みざるを以て、之を記するの書、
未嘗
(
いまだかつて
)
多しとせず。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お君さんは
今日
(
きょう
)
までに、
未嘗
(
いまだかつて
)
男と二人で遊びに出かけた覚えなどはない。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「つれづれ草などは定めしお好きでせう?」しかし不幸にも「つれづれ草」などは、
未嘗
(
いまだかつて
)
愛読したことはない。正直な所を白状すれば「つれづれ草」の名高いのもわたしには殆ど不可解である。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「つれづれ草などは定めしお好きでしょう?」しかし不幸にも「つれづれ草」などは
未嘗
(
いまだかつて
)
愛読したことはない。正直な所を白状すれば「つれづれ草」の名高いのもわたしには
殆
(
ほとん
)
ど不可解である。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
笠翁
(
りゅうおう
)
は昔詳細に、支那の女の美を説いたが、(偶集巻之三、声容部)
未嘗
(
いまだかつて
)
この耳には、一言も述べる所がなかった。この点では偉大な十種曲の作者も、
当
(
まさ
)
に芥川龍之介に、発見の功を譲るべきである。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
未
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
嘗
漢検準1級
部首:⼝
14画
“未”で始まる語句
未
未曾有
未練
未亡人
未刻
未明
未来
未來
未熟
未知