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木枯
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こがら
ふりがな文庫
“
木枯
(
こがら
)” の例文
木枯
(
こがら
)
しのおそろしく強い朝でしてな。あはれな話ですね。けれども、あの子は、見どころあります。それから母子ふたりで、東京へ出て、苦労しました。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
カラカラッと、
空
(
くう
)
に
木枯
(
こがら
)
しと聞こえたのは、逃げる
弾
(
はず
)
みに、その男が竹の束に
打
(
ぶ
)
つかッて鳴ったひびきで
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十二月三十一日、今年を限りと
木枯
(
こがら
)
しの強く吹いた晩、本郷四丁目から電車を下りて北に向うた忙がしい人々の中にただ一人忙がしくない竹村運平君が交じっていた。
まじょりか皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それからこの
渋団扇
(
しぶうちわ
)
、これもあぶなく風呂の
焚付
(
たきつけ
)
にされるところでした。ごらんなさい、これに『
木枯
(
こがら
)
しや隣といふも越後山』——これもまぎろう
方
(
かた
)
なき一茶の自筆。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この
年月
(
としつき
)
の経験で、鐘の声が最もわたくしを喜ばすのは、二、三日荒れに荒れた
木枯
(
こがら
)
しが、短い冬の日のあわただしく暮れると共に、ぱったり吹きやんで、寒い夜が一層寒く
鐘の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
休養は猫といえども必要である。鈴木君と迷亭君の帰ったあとは
木枯
(
こがら
)
しのはたと吹き
息
(
や
)
んで、しんしんと降る雪の夜のごとく静かになった。主人は例のごとく書斎へ引き
籠
(
こも
)
る。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
堪えがたいまでに吹き通す
木枯
(
こがら
)
しに、残る枝もなく葉を落とした
紅葉
(
もみじ
)
の、積もりに積もり、だれも踏んだ跡も見えない庭にながめ入って、帰って行く気の進まなく見える薫であった。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
梢を渡る
木枯
(
こがら
)
しのような息を高々ともらした外記、二、三秒、眼前の
虚空
(
こくう
)
を掻き抱くがごとく見えたが、瞬時にしてどうッとふき出た血潮の海に、踏みこらえようとあせって足がすべって
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
此地の秋既に老いて
木枯
(
こがら
)
しの冬の間近に迫つて居ることが知れるであらう。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
静かに
炬燵
(
こたつ
)
にあたって
木枯
(
こがら
)
しの音を聴いていた。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
木枯
(
こがら
)
しの吹く寒い日の夕方です。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
木枯
(
こがら
)
しのおそろしく強い朝でしてな。あわれな話ですね。けれども、あの子は、見どころあります。それから
母子
(
おやこ
)
ふたりで、東京へ出て、苦労しました。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
折から遠くより吹く
木枯
(
こがら
)
しの高き塔を
撼
(
ゆる
)
がして
一度
(
ひとた
)
びは壁も落つるばかりにゴーと鳴る。弟はひたと身を寄せて兄の肩に顔をすりつける。雪のごとく白い
蒲団
(
ふとん
)
の一部がほかと
膨
(
ふく
)
れ
返
(
かえ
)
る。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして充血して赤く
爛
(
ただ
)
れた眼と、陽にあたらないために
蝋
(
ろう
)
のように青白くなった顔をもって、
大蔵
(
だいぞう
)
の闇から彼がこの世へ出てきた時には、世は
木枯
(
こがら
)
しのふきすさぶ
建久
(
けんきゅう
)
七年の真冬になっていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木枯
(
こがら
)
しの吹くにつけつつ待ちし
間
(
ま
)
におぼつかなさの
頃
(
ころ
)
も経にけり
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
木枯
(
こがら
)
しのおそろしく強い朝でしてな。あわれな話ですね。けれども、あの子は、見どころあります。それから母子ふたりで、東京へ出て、苦労しました。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
外には白い
霜
(
しも
)
を一度に
摧
(
くだ
)
いた日が、
木枯
(
こがら
)
しにも吹き
捲
(
ま
)
くられずに、
穏
(
おだ
)
やかな往来をおっとりと一面に照らしていた。敬太郎はその中を
突切
(
つっき
)
る電車の上で、光を
割
(
さ
)
いて進むような感じがした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あとはもう、陰鬱な
曇天
(
どんてん
)
つづきで
木枯
(
こがら
)
しの風ばかり吹きすさぶ。
やんぬる哉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
君、神様は、天然の
木枯
(
こがら
)
しと同じくらいに、いやなものだよ。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“木枯”で始まる語句
木枯嵐