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断々
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きれぎれ
ふりがな文庫
“
断々
(
きれぎれ
)” の例文
旧字:
斷々
座中は目で探って、やっと一人の膝、誰かの胸、別のまた
頬
(
ほお
)
のあたり、
片袖
(
かたそで
)
などが、風で
吹溜
(
ふきたま
)
ったように、
断々
(
きれぎれ
)
に
仄
(
ほのか
)
に見える。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ香のけむりが
断々
(
きれぎれ
)
としてのぼっていることによって、お角はまたあのお墓へ誰かおまいりに来たなと思っただけでした。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これは
断々
(
きれぎれ
)
な、とり乱した言葉である。が、切られない愛で息子の心中にある何ものかの横へまでこの母は思わず擦りよって行っているのである。
山本有三氏の境地
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
其麽
(
そんな
)
筈はないと自分で制しながらも、
断々
(
きれぎれ
)
に、信吾が此女を
莫迦
(
ばか
)
に讃めてゐた事、自分がそれを兎や角
冷
(
ひや
)
かした事を思出してゐたが、腰を掛けるを
切懸
(
きつかけ
)
に
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お島は、
断々
(
きれぎれ
)
に耳につくその話に、ふと不安を感じながら訊いた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
一面に
紫雲英
(
げんげ
)
が生えた、その葉の中へ伝わって、
断々
(
きれぎれ
)
ながら、
一条
(
ひとすじ
)
、
蒼
(
あお
)
ずんだ明るい色のものが、
這
(
は
)
ったように浮いたように落ちています。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日は何か初めての曲を弾くのだと見えて、同じところを
断々
(
きれぎれ
)
に何度も繰返してるのが聞えた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
藍
(
あい
)
を入れた字のあとは、
断々
(
きれぎれ
)
になつて、
恰
(
あたか
)
も青い
蛇
(
へび
)
が、
渦
(
うずま
)
き立つ雲がくれに、昇天をする如く
也
(
なり
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
歌の句が
断々
(
きれぎれ
)
に、
混雑
(
こんがらか
)
つて、
唆
(
そそ
)
るやうに耳の底に甦る。『
那
(
あ
)
の時——』と何やら思出される。それが余りに近い記憶なので、却つて
全体
(
みな
)
まで思出されずに消えて了ふ。
四辺
(
あたり
)
は静かだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
きゃんきゃんきゃん、クイッ、キュウ、きゃんきゃんきゃん、と
断々
(
きれぎれ
)
に、声が細って
泣止
(
なきや
)
まない。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人は、何といふ事もなく、もう
湿声
(
うるみごゑ
)
になつて、
断々
(
きれぎれ
)
に語りながら、
他所
(
よそ
)
ながら家々に別れを告げようと、五六町しかない村を、南から北へ、北から南へ、幾度となく手を取合つて
吟行
(
さまよ
)
うた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
後を追って、奇異なる
断々
(
きれぎれ
)
の声を叫びながら駆け出した蔵人を、ばらばらと追詰める連中の、ある者は右へ
退
(
の
)
き、ある者は左へ避け、三人五人前後に分れて、
賽
(
さい
)
の目のように散らばった。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト、一日手を離さぬので筆が
仇敵
(
かたき
)
の様になつてるから、手紙一本書く気もしなければ、
書
(
ほん
)
など見ようとも思はぬ。
凝然
(
じつ
)
として
洋燈
(
ランプ
)
の火を見つめて居ると、
断々
(
きれぎれ
)
な事が
雑然
(
ごつちや
)
になつて心を掠める。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
断々
(
きれぎれ
)
に言ひながら、体を
揺
(
ゆす
)
り上げるやうにして裾を端折つてゐる。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
々
3画
“断々”で始まる語句
断々乎
断々固