敦圉いきま)” の例文
ひとしきり敦圉いきまいた後とて度胆どぎもも坐ってきた上に、なぜかしらへべれけに酔ってみたい気持もあって、許生員は差される盃は大抵拒まなかった。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)
敦圉いきまいているという風評が、学生仲間に伝わった位でありました。むろんこれは事実であったろうと思いますが……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かかる放蕩ほうとう者の行末ゆくすえ覚束おぼつかなき、勘当せんと敦圉いきまき給えるよし聞きたれば、心ならずも再びかの国に渡航して身を終らんと覚悟せるなりと物語る。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
かね/″\主人が支倉の留守宅にしげ/\出入して、細君の相談相手になっているのを快く思っていないお篠は、岸本から焚きつけられていよ/\敦圉いきまいた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
鳥渡妙な議論だが、兎に角ペイルソルプはそう言って敦圉いきまいた。この通り記録にあるのだから仕様がない。
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
敦圉いきまきまするので、流石の勘太も親という一字には閉口致しましたか、這々ほう/\ていで逃げて仕舞います。
それが、支配者であるというものの第一の仕事であろうが——と談じこもうと敦圉いきまいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「ヒヤヒヤ僕も同説だ、忠君愛国だってなんだって牛肉と両立しないことはない、それが両立しないというなら両立さすことが出来ないんだ、其奴そいつが馬鹿なんだ」と綿貫は大に敦圉いきまいた。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
よろしい、本家がそう云うなら此方にも覚悟がある、きっとそのお金は取るようにして取って見せる、と、泣いて敦圉いきまく始末なので、幸子はそれをなだめるのに一と汗かねばならなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かう敦圉いきまいて言ふものなどもあつた。慈海の生立おひたちを知つてゐるものは
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その菊と申す女は重々不埒ふらちな者でござりまする。(敦圉いきまいて云ふ。)
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
人足多く率い来て商主にむかい、汝昨夜われとともに非行したから五馬を渡せと敦圉いきまき、商主は夢に見た事が汝に何の利害もあるものかと大悶着となって訴え出で、判官苦心すれど暮に至るも決せず
ところへ同じ丘の上から十四名の騎馬の者が現れてきて、二人の者を渡さなければ鏖殺みなごろしにしてしまふと敦圉いきまいて罵り騒いでゐる。そこへ又九名の者が駈けつけてきて、追手の数は二十三名となつた。
と父親も面相の批評までされると益〻敦圉いきまかざるを得ない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
第一に敦圉いきまき出したのはひげ将軍
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
不幸にしてお沙汰さたに接しないとしたならば、そのときこそ最後の奉公にたねばならぬと思った。家臣こぞって、主家百年の安泰のため、死をしてこの情をべねばならぬと敦圉いきまくのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と車掌はヨロ/\しながら敦圉いきまいたが、大学生は
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とにかく敦圉いきまいた。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
と母親は敦圉いきまいたけれども仕様がない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
敦圉いきまいて、吉川君は立ち上った。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と安子さんは敦圉いきまいた。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と赤羽君が敦圉いきまいた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)