政治まつりごと)” の例文
かくのごとき祭事まつりごとがいかにして政治まつりごとに変わって来たか。ここに我々はいわゆる「大臣おおおみ大連おおむらじ」の意義が見いだされはしないかと思う。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
剣と人倫、剣と仏道、剣と芸術——あらゆるものを、一道と観じ来れば——剣の真髄しんずいは、政治まつりごと精神こころにも合致する。……それを信じた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……これでは幕府の存在は、有害であって無益ではないか! すべからく天下に罪を謝し、政治まつりごと京師けいしへ奉還し、天皇様御親政の日本本来の、自然の政体に返すべきじゃ!
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今この国の政治まつりごとを執っているいん紂王ちゅうおう妲己だっきという妖女にたぶらかされて、夜も昼も淫楽にふける。まだそればかりか、妲己のすすめに従って、炮烙ほうらくの刑という世におそろしい刑罰を作り出した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だが深く思うと、政治まつりごとの道は武のみが本ではない。文武二道の大円明だいえんみょうの境こそ、無欠の政治があり、世をかす大道の剣の極致があった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言いかえれば祭事まつりごととしての権威によって政治まつりごとが行なわれたのである。しかしながら実際に行なわれるのはもはや祭事ではなくして西方の知識による政治であった。ここに形式と内容との分離がある。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
真っぐなことばかり云うからである。世の中の事々は——わけて政治まつりごとなどにたずさわれば、重盛がいうようなわけにはゆかない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武家もなく、幕府もなく、また院政だの、公卿の専横もなかった以前の世は、政治まつりごとは天子がべ給うものときまっていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、異国の学をかがみとして、時弊を打ち破り、ひいては執権北条の幕府をもくつがえして、政治まつりごとを遠きいにしえにかえさんとの思し召でもあるか」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おろかなことを。政治まつりごとだんをくだすものが、おんなげんなどにくらんでよいものか。……いや、さような繰り言はけ。……尊氏は、どうしているか」
文雅風流の道に傾きすぎるきらいはあるがまず聖明な君と申しあげてよい。ただ困るのはその君側のかんだ。奸佞かんねい侯公こうこうや悪臣のみが政治まつりごとを自由にしている
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえ、そんなことはござりませぬ。よい政治まつりごとは、高い剣の道と、その精神こころは一つとてまえも考えまする」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きくは天下の政治まつりごとをなされては行けませんから、ご自身で、ご自身の弱いところを知って、いて無情に構えていらっしゃるのだと、私などは存じあげておりまする
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、たかが居酒屋のおやじではございますが、御新政にそむいて、楮幣ちょへいを受けとらぬばかりか、こんな物は紙クズだなどと、恐れもなく、人中において政治まつりごとのご誹謗を
しかるにその翼臣よくしんたるそれがしはいが、いち早くおごりを示し人民の範たることを打ち忘れ、政治まつりごとを怠りなどしていたら、せっかく、わが君の大業もここに挫折するやも知れません。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世の中はうごいているぞ、人間は生き物だぞ。戦や政治まつりごとのあいまには、せいぜい仏者遊びもよい。だが伽藍がらんの中か小松谷の館の中でやれ。——清盛のまえへなど持ち出して参るな
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんびず、世に臨んでは、政治まつりごとを私に曲げず、義にのぞんでは私心なく、白雲のごとく身は縹渺ひょうびょう、雨のごとく行動は急、そして貧に自楽することを知って、まとを得ざるも不平を病まずなどと……
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……前中納言光圀卿さきのちゅうなごんみつくにきょうこそは、西国の某大藩のあるじとかたらい機を計って幕府を仆し、政治まつりごとを朝廷にかえし奉らんとする大それた陰謀の首魁であったと綱吉つなよし将軍の前へ、生き証人をらっして、いわせることです
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羅天大醮ほしまつりを、とりおこない、あわせて、兄弟分諸君の義魂と正義のいよいよ磨かれんことをいのり、また二つには、朝廷におかせられて、よく今日の政治まつりごと濁悪じょくあくに目ざめられ、われらの罪をゆるして
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)