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摺寄
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すりよせ
揉でゐた所ろ
今方お
休みなされたのでやう/\出て
參りましたと云つゝ上りて
火鉢の
側身をひつたりと
摺寄て
坐れば庄兵衞
魂魄も飛して
現を
言しか譯も
解らず忠兵衞
不審に思ひながら障子を
開いて内に入る
音に
此方は目を
覺せば忠兵衞
膝を
摺寄て今日の事は旦那樣より
伺ひまして
折角のお花見にさへお
出がなしと聞て驚き
御容子を
はじめ
家財雜具迄殘り
少なに燒失ひ其のみならず
引續きて
水旱の
難に
罹り難儀の
重なりて年々
殖る
年貢の
未進に當年こそは是非ともに未進の
皆納なすべしと
村役人より
促され素より
篤實一
遍の者なれば十兵衞夫婦は
膝摺寄如何なる
前世の
宿業にや追々續く
災難にて
斯迄困窮の身となりしぞ
斯る事の
無らん爲
鋤鍬の
勞を