手巾ハンカチーフ)” の例文
輕氣球けいききゆううへでは、たちま吾等われら所在ありか見出みいだしたとへ、搖藍ゆれかごなかから誰人たれかの半身はんしんあらはれて、しろ手巾ハンカチーフが、みぎと、ひだりにフーラ/\とうごいた。
私はそを見せじとて、ソーツと、手巾ハンカチーフもて目を拭ひ、そしらぬ顔で母の方を見ますれば、母は私より先に、はや眼の縁を真赤にして、をりました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
即ち彼等が森へ遊びに行くと、奥の叢林の中に白の下袴ペチーコートと絹のスカーフとパラソルとM・Rというイニシアルのついた麻の手巾ハンカチーフとを発見したのである。
そして更に机や手文庫を逐一調べて腑に落ちないか、チェッと舌撃したうちをしたが、突如いきなりしゃがむと机の下から座蒲団と共に、皺になった新しい手巾ハンカチーフを引摺出した
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
「モシモシ、あなた、手巾ハンカチーフが落ちましたよ。……私はジョージ・バーナード・ショウで御座います」
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
『あゝ、ゆめではありますまいか、これゆめでなかつたら、どんなにうれしいんでせう。』と、とゞかねたる喜悦よろこびなみだをソツと紅絹くれない手巾ハンカチーフ押拭おしぬぐふ。
ここまで語って令嬢は手巾ハンカチーフでそっと顔をぬぐいました。
髭の謎 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
きよろ/\しながら四方しほう見廻みまはすと、「」の士官しくわん水兵等すいへいらはくす/\わらつてる、濱島武文はまじまたけぶみはから/\わらつてる、春枝夫人はるえふじん手巾ハンカチーフかげからそつとわらつてる。