うつく)” の例文
うつくしといもはやねやもけりともわれるべしとひとはなくに 〔巻十一・二三五五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うつくしき汝兄なせの命、かくしたまはば、いましの國の人草、一日ひとひ千頭ちかしらくびり殺さむ」とのりたまひき。
妻子めこ見ればめぐしうつくし」(巻五・八〇〇)、「妻子めこ見ればかなしくめぐし」(巻十八・四一〇六)等の「めぐし」は愛情の切なことをあらわしているが
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ここに殿とのくみ一〇より出で向へたまふ時に、伊耶那岐の命語らひて詔りたまひしく、「うつくしき汝妹なにもの命、吾と汝と作れる國、いまだ作りへずあれば、還りまさね」
釈迦如来、金口こんくに正しく説き給はく、等しく衆生しゆじやうを思ふこと、羅睺羅らごらの如しと。又説き給はく、愛は子に過ぎたるは無しと。至極の大聖すら尚ほ子をうつくしむ心あり。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かれここに伊耶那岐の命のりたまはく、「うつくしき汝妹なにもの命を、子の一木ひとつけへつるかも」とのりたまひて、御枕方みまくらべ匍匐はらば御足方みあとべに匍匐ひて、きたまふ時に、御涙に成りませる神は
うつくしと念ふ吾妹をいめに見てきてさぐるに無きが不怜サブシサ (巻十二。二九一四)
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)