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悽惨
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せいさん
ふりがな文庫
“
悽惨
(
せいさん
)” の例文
それらの打首は、人目だかい諸所方々でさらされたが、わけて犬射ノ馬場の光景は、あまりにも
悽惨
(
せいさん
)
で目をおおわしめるものがあったという。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしかかる
悽惨
(
せいさん
)
な生の流れにおいてこそ、はじめて太子の御姿が幾度もふりかえられ、その祈念は人心に復活したといえるのではなかろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
この
悽惨
(
せいさん
)
たる
危機
(
きき
)
にたいし、モコウと他の少年たちのすがたが見えぬのはふしぎである。あるいはみな殺されて、洞内に倒れているのではあるまいか。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
と、そう自分を叱りながら、にもかかわらず、つい、そのあとから、胸の中にくりかえさぬわけに行かぬのが、父親の、あの、奇怪
悽惨
(
せいさん
)
な、遺書だった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
あまりにも
悽惨
(
せいさん
)
なる暁だった。生き残った帝都市民にとって、それは残酷以外の何物でもない夜明けだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
惟光
(
これみつ
)
たちは
悽惨
(
せいさん
)
なこの歌声に目をさましてから、いつか起き上がって訳もなくすすり泣きの声を立てていた。その人たちの心を源氏が思いやるのも悲しかった。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
空一面に
炸裂
(
さくれつ
)
する敵味方の砲火、何千という軍人が、見物の目の前で
悽惨
(
せいさん
)
な戦いをつづけているのです。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
頃
(
ころ
)
温に寄せた詩の中に、「
満庭木葉愁風起
(
まんていのこのはしうふうおこり
)
、
透幌紗窓惜月沈
(
くわうしやのまどをとほしつきのしづむををしむ
)
」と云う、例に無い
悽惨
(
せいさん
)
な句がある。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
岸本はその空虚な部屋を
覗
(
のぞ
)
いて見て、
悽惨
(
せいさん
)
な戦争の記事を読むにも
勝
(
まさ
)
る恐るべき冷たさを感じた。その冷たさが壁
一重
(
ひとえ
)
隔てた自分の部屋の極く近くにあることを感じた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人生には
悽惨
(
せいさん
)
の気が浸透している。春花、秋月、山あり、水あり、
紅
(
あか
)
、紫と
綺羅
(
きら
)
やかに複雑に目も
文
(
あや
)
に飾り立てているけれど、
帰
(
き
)
する
処
(
ところ
)
沈痛悲哀の調べが
附纏
(
つきまと
)
うて離れぬ。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
秋になると
蔦
(
つた
)
かずらが真紅になったまま捲きついている、何か
悽惨
(
せいさん
)
な感じの、遊女らしい小さな墓だとか、——そういうものなら、そのほかにも、まだまだ何かありそうだね
雪の上の足跡
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
上下左右、嘲弄と略奪と罪悪との間につつまれて、イエスは十字架にかかり給う。彼の肉体も同じく罪の一色に塗りつぶされているのです。ああ
悽惨
(
せいさん
)
たるかな、荒涼たるかな。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
それを用うる
術
(
すべ
)
を知らない盲目の小法師に向ってすらが、彼は正式にして、対等の強敵に向うと同じ位を取って突きつけて行く時に、言おうようない
悽惨
(
せいさん
)
な力が、その刃先といわず
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あたかもあの
悽惨
(
せいさん
)
なクリミヤ戦役の直後に当たっており、したがって父の家に集まる軍人たちの血なまぐさい
戦争譚
(
せんそうだん
)
に、彼の幼ない情感と献身愛とははげしくかきたてられずにはいなかった。
「あかい花 他四篇」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
京子は、
瞑目
(
めいもく
)
した。青い少しも血色のない顔だった。額のところが、ほのかに汗ばんで、それが
悽惨
(
せいさん
)
な感じを起させた。しばらくすると、京子はパッと目を開いた。青い炎の出るような
眸
(
ひとみ
)
だった。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あてにしていた夢が、かたっぱしから全部はずれて、大穴あけて、あの
悽惨
(
せいさん
)
、
焦躁
(
しょうそう
)
、私はそれを知っている。その地獄の中でだけ、この十年間を生きて来た。もう、いやだ。私は、幸福を信じない。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
曇れる
眼
(
まなこ
)
、きらめかし、
悽惨
(
せいさん
)
として遅々たりや。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
頬から耳の辺へかけて、
薄傷
(
うすで
)
を負うと、血のすじが、顔中にちらかって、
悽惨
(
せいさん
)
な二つの眼だけが、穴みたいに光っている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
桜田のあの日の——同志の
悽惨
(
せいさん
)
な顔つきが眼にうかぶ。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悽
漢検1級
部首:⼼
11画
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“悽”で始まる語句
悽愴
悽
悽然
悽惻
悽々
悽惆
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悽而
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