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御無事
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ごぶじ
けれど
賓人よ、
私はよく
存じて
居ります、
今夜の
弦月丸とかで
御出發になつては、
奧樣も、
日出雄樣も、
决して
御無事では
濟みませんよ。
よくまァ
御無事で……
些ッとも
姫さまは
往時とお
変りがございませぬ。お
懐かしう
存じます……。
ヹローナからの
音信ぢゃ! どうぢゃ、バルターザー!
御坊からの
消息は
無かったか?
姫は
如何ぢゃ、
父上は
御無事か? ヂュリエットは
何としておゐやる?
先づ、それを
聞かう
『おつ
魂消えた/\、
危なく
生命を
棒に
振る
處だつた。』と
流石の
武村兵曹も
膽をつぶして、
靴無き
片足を
撫でゝ
見たが、
足は
幸福にも
御無事であつた。
『はい、
决して
御無事には
濟みません。』と、
亞尼は
眞面目になつた、
私の
顏を
頼母し
氣に
見上げて