御普請ごふしん)” の例文
「よく世間でそういうが、こちらにあるお邸は、お住居ではない。お蔵やしきと、御普請ごふしんお手伝いのためにある材木の御用所だけだ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
實體に勤め上しかば豐島屋の暖簾のれんもらひ此鎌倉河岸へ居酒屋の店を出せし處當時常盤ときは橋外通り御堀浚おほりざら御普請ごふしん最中さいちうつきかれが考へにて豆腐とうふ大田樂おほでんがくこしらへ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ほほ、御冗談でしょう。両国橋が御普請ごふしんだというので、どんな様子か拝見に出て来たんですよ」
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ものは分け持ちや、おれ達は持分の御普請ごふしんに精出すのが何より阿弥陀あみださまへの御奉公じゃ。おっとそう言うてる間に日が暮れて来た。さあ、もうのう往のう、明日はまた朝早いぜ
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
今度の筆屋さんの御普請ごふしんと来た日にゃアほんとに、追従ついしょうじゃアございません、へい、三井さんやこうノ池さんでも、こう申しちゃア何ですが、あんな豪勢な真似まねは出来めえ、なアんてね、へっへ
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「お嬢様、ここへ、御普請ごふしんをなさいますのですか」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「組頭。てまえは、主命によりまして、三日ほど、外曲輪そとぐるわ御普請ごふしんのほうへ、全力でかかることになりました。その間、どうかよろしく——」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
持て折々をり/\宿やどへ參りし事有と云に其惣助と申す者は當時何方いづかたゐるや申聞すべしといへば只今は御普請ごふしん奉行小林軍次郎樣方に中間奉公致し居候と申にぞさらばとて早速使を仕立したて御差紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「武功ならば、武人はたれもひとに譲らん。禁門の御普請ごふしん、洛中の市政、いろいろな財務。御房はふしぎな天才じゃ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清洲の城壁の御普請ごふしんをやって間もなく、何処へ行ったか、久しく姿を見せなかった藤吉郎も、鳴海、笠寺の二城が尾張のものになると、いつの間にか、帰っていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折ふしの御普請ごふしん、国へのみやげ話にもと、ふと、立ち寄って、大きな感動に打たれておりましたわけで
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえいえ。禁裡きんり御普請ごふしんの落成を拝し、その後、怠りがちの政務を、かたがた御機嫌をお伺いに」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「木下。おぬしは、御普請ごふしんに関係しておる棟梁とうりょうたちや、人夫のかしらどもを、今夜招いておったのか」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十一年前、わしは阿波へ入り込むと同時に、すぐに畳屋たたみやに化けていたよ、紺の股引ももひきにお城半纏しろばんてんを着て、畳針のおかげで御普請ごふしんを幸いに、本丸にまで入り込んだものじゃ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいえ、脇坂様は、御普請ごふしん方をしておりますところから、永代橋のおえに、職人達へ支払う公金を、たった一晩、お屋敷の土蔵にとめておいたのが間違いだったのです。
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それが今日においては、彼処の御普請ごふしんと聞くや、諸州を挙げて、石を運び材を寄せ、むしろ下命をよろこんで、昼夜、御工事を孜々ししきそいおるとの由。……ひとえに御威徳と申すものでしょう」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「安土の御普請ごふしんにあたって、右大臣家からお招きがあっても、彼のみはおことわりして、名利にも権勢にも屈しなかった。何ぞ、亡主のあだ障壁しょうへきえがかんや——という気概きがいを抱いておるものとみゆる」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「皇居の御普請ごふしんも、あらまし竣工しゅんこうしたな」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西丸御普請ごふしん御用
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)