したご)” の例文
旧字:
さもさもおとろえたかたちで、永代えいたいの方から長く続いて居るが、いて線を引くと、文明の程度が段々此方こっちへ来るにしたごうて、屋根越やねごしにぶることが分るであろう。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
界隈かいわいの景色がそんなに沈鬱ちんうつで、湿々じめじめとして居るにしたごうて、住む者もまた高声たかごえではものをいわない。歩行あるくにも内端うちわで、俯向うつむがちで、豆腐屋も、八百屋やおやも黙って通る。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
慕わせるより、なつかしがらせるより、一目見た男をする、ちから広大こうだいすくなからず、地獄、極楽、娑婆しゃばも身に附絡つきまとうていそうな婦人おんなしたごうて、罪もむくいも浅からぬげに見えるでございます。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
泥だらけな笹の葉がぴたぴたと洗われて、底が見えなくなり、水草の隠れるにしたごうて、船が浮上うきあがると、堤防の遠方おちかたにすくすくと立って白い煙を吐く此処彼処ここかしこ富家ふか煙突えんとつが低くなって
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)