小辨慶こべんけい)” の例文
足袋跣足たびはだしたとふ、今夜こんやは、もしや、あの友染いうぜんに……あの裾模樣すそもやう、とおもふけれども、不斷ふだん見馴みなれてみついた、黒繻子くろじゆすに、小辨慶こべんけい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女客と言ふのは、二十四、五の中年増、眉のあとも青々とした、凄いほどの美人ですが、小辨慶こべんけいの單衣はひどく潮垂しほたれて世帶くづしの繻子しゆすの帶にも少しばかり山が入つて居ります。
……黒繻子くろじゆすに、小辨慶こべんけいあゐこんはだしろさもいとして、乳房ちゝ黒子ほくろまでてられました、わたしとき心持こゝろもちはゞかりながら御推量ごすゐりやうくださりまし。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小春時こはるどき一枚小袖いちまいこそであゐこん小辨慶こべんけい黒繻子くろじゆすおびに、また扱帶しごき……まげ水色みづいろしぼりの手絡てがらつやしづくのしたゝるびんに、ほんのりとしたみゝのあたり、頸許えりもとうつくしさ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)