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こべんけい
櫛巻きとかいうものに髪を取上げて、
小弁慶の糸織の
袷衣と養老の
浴衣とを重ねた奴を素肌に着て、
黒繻子と
八段の腹合わせの帯をヒッカケに結び
桐油合羽を小さく
畳んでこいつを
真田紐で右の包につけるか、
小弁慶の木綿の
蝙蝠傘を一本、おきまりだね。
女客と言ふのは、二十四、五の中年増、眉の
跡も青々とした、凄いほどの美人ですが、
小辨慶の單衣はひどく
潮垂れて世帶くづしの
繻子の帶にも少しばかり山が入つて居ります。
……
其の
黒繻子に、
小辨慶の
藍と
紺、
膚の
白さも
可いとして、
乳房の
黒子まで
言ひ
當てられました、
私が
其の
時の
心持、
憚りながら
御推量下さりまし。
小春時の
一枚小袖、
藍と
紺の
小辨慶、
黒繻子の
帶に、
又緋の
扱帶……
髷に
水色の
絞りの
手絡。
艷の
雫のしたゝる
鬢に、ほんのりとした
耳のあたり、
頸許の
美しさ。